記者席



「腐った魚」と女性記者
2018年4月22日


◆…オウム真理教が、“善なる教団”と社会的評価を受けていた頃から、ひとり「殺人教団」であると追及していたことで知られる気骨の評論家江川紹子さんが、最近の政治情勢を指して「魚は頭から腐る」と表現していた。言い得て妙なりだ。日本国の一強権力者安倍晋三総理を筆頭に、猿回しの猿大臣、うそつき、茶坊主、色狂いだらけの中央官僚、その他大勢の首振り議員等々、どれをとっても「自分ファースト」の連中が日本丸を動かしているのが悲しき現状だ。
◆…そんな時だからこそ、マスコミは公器を使って、腐る権力を斬り、権力機構の新陳代謝を促さねばならない。はずなのに、福田淳一前財務省事務次官の女性記者へのセクハラ行為に対するテレビ朝日の対応は、とてもとても信じ難く、「権力機構」の側に組み込まれている姿をさらけ出した。「週刊誌に取材情報を提供したことは遺憾」だと、よくも抜け抜けと言えるもんだ。性根が腐ってる。
◆…女性記者が「セクハラ被害拡大を防止することの重要性」を考え自社報道を望んだのに対し、「二次被害が生じる恐れがある」ことを理由にこれを拒んだという。これは明らかに欺瞞だ。女性記者は、自らへの二次被害を覚悟の上で、自社報道を望んだのだから。女性記者を最大限守りながら、事実を報道するのが、公共施設の提供など様々に優遇措置を受けている報道機関として最低限の社会的責任ではないか。
◆…自社報道されなければ、他の報道機関に提供してでも、エロ官僚を告発し、社会的批判にさらそうとするのは、記者として、被害女性として至極当然のことで、女性記者の行動は正しい。というより、称賛に価する。「報道倫理上許されない」と社説で女性記者を叩いた全国紙もあるが、「被害者は名乗り出よ」と女性記者に呼び掛けた財務省と似たり寄ったりの人権感覚だ。
◆…それにしても最近のテレビ報道は、週刊誌や新聞の報道をネタに、ああでもない、こうでもないと当たり障りのない内容のオンパレードだ。高市早苗元総務相の「政治的公平性を欠く報道をくり返せば電波停止もありうる」(趣旨)との脅しが功を奏しているのだろう。ここ数年、安倍総理を堂々と批判していた気骨のある、テレビキャスターはあの人もこの人も次々に姿を消していった。自民党が、「政治的公平性を欠く」と判断した番組の担当者は、呼び出され詰問されるのだから委縮するわな。
◆…かくしてテレビは、権力におもねる腐った情報を垂れ流すだけの、薄いベニヤ板に成り下がってしまった。最近の週刊誌は、文春といい新潮といい、相互に喧嘩しながらでも、権力と真っ向から対峙して頼もしい。一身を賭した勇気ある行動で、頭だけでなく胴体まで腐っている魚を白日の下にさらした女性記者は尊敬に値する。「平和の問題で頑張っているのは東京新聞だけ」と熱く語っていた故野中広務氏を思い出した。【藤本博】

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