「災害時給水協力井戸」の登録者が掲げているプレート

豪雨災害で改めて脚光

大阪北部地震や西日本豪雨災害でライフラインが寸断する中、断水時に民間の井戸から生活用水などを提供してもらうため宇治市が2005年から登録制で始めた「災害時給水協力井戸」に時ならぬ関心が集まっている。その反面、井戸所有者の高齢化や空き家化、登録井戸の地域偏在などの課題もあり、市では「ひき続き機会を見て制度を周知し、1件や2件でも協力井戸が増えるようにしたい」としている。

地震や豪雨でライフラインが寸断され、たちどころに困るのが飲み水に加え、復旧活動やトイレ・洗濯などに必要な生活用水。そんな折にスポットが当ったのが緊急時にものをいう民間井戸の活用だ。
宇治市内では01年に府営水道の導水管が破裂し、市内広範囲が夏場に断水する事態を招き、給水活動が軌道に乗るまでの間、民間の水源で急場をしのいでもらおう――と「市政だより」を通して市民の協力を要請。
これを契機に市民や事業者が所有する井戸水を市民に提供してもらうことで、災害時の生活用水の確保を図ろうと05年度から登録制度が始まった。
宇治川流域の山城盆地に位置する市内は京都市内と同様、地下水が豊富な地域とされる。市が非常時の水源利用として20年前に調査した当時で、市内で府の条例に基づく検査を受けている井戸は42ヵ所。
保健所に持ち込まれる一般家庭からの検査依頼は宇治・城陽・久御山の3市町を含めて年間おおむね200件前後の実績があった。
登録制度が始まった05年は31件が登録。10年度の15年には48件に増えた。登録者の半数は事業所。残りは個人で、家業の関係で水を多く利用する人が多いとみられ、15年以降も登録数に変化はない(市危機管理室)という。
その一方で、現在の登録48件のうち、宇治川を挟んで東側の地域が8件と少なく、地域的な偏在などの課題はある。
維持管理や土地の売却などの関係で井戸を手放す人も増えており、今後増加は見込めにくいが、市は「あくまで補完的な事業だが、平常時からの安心安全の備えとして続けたい」と話している。
災害時給水協力井戸に関する問い合わせは危機管理室(℡39―9421)へ。【岡本幸一】