逆走台風、各地に爪痕/京都府南部
離れたマンションから飛んできた屋根

東から西へと通常のコースとは逆コースで近畿を通過した台風12号により、府南部は29日未明から暴風雨となり、城陽市で最大瞬間風速32㍍、京田辺市、宇治市でも29㍍を記録した。宇治市内でマンションの屋根が吹き飛んだほか、ガレージのカーポートが壊れたり倒木などの被害が相次いだ。宇治市内では宇治(里尻、戸ノ内、小桜)、槇島地域の広い範囲で停電が起きた。

■マンションの屋根が落下/宇治市の私道

29日午前2時半ごろ、宇治市莵道車田にある私道(「カラオケ喫茶 太陽」前)にマンションの屋根が落下した。
喫茶のななめ向かいに住む杉浦康之さん(85)が夜中、大きな音を聞いて発見。「ものすごい大きな音がした後、バチっと電気がショートする音がなった」、「恐ろしい。こんなことになるんやで」と話している。
屋根は道を覆いかぶさり、喫茶に倒れ掛かるようにして落下。通行ができない状態となったほか、電線も切れたため付近の家屋で電気と固定電話がストップした。人的被害はなかった。
喫茶のオーナー、寺戸柾美さん(72)=城陽市在住=は杉浦さんから連絡を受け、同日午前5時半ごろ現場に駆け付けた。
状況を確認したところ、少し離れたマンションで屋根がはがれて飛んできたことがわかった。マンションは直線距離で約20㍍の場所にある。
杉浦さんが110番通報し、宇治市役所にも連絡。宇治警察署の署員や役所職員が駆け付け、現場を確認した。私道のため、屋根は民間業者が取り除く。
離れたマンションから飛んできた屋根

 

■想定外の暴風被害も
宇治、槇島で2千軒以上停電

宇治市危機管理室のまとめによると、台風により市道宇治市津川線、白川林道など市道30ヵ所、林道6ヵで倒木が発生。住宅2軒が一部損壊したが、けが人などはなかった。
市施設では倒木2校、掲示板ガラス破損1校、城南荘集会所(屋根の破損)、宇治市斎場(敷地内の倒木)で被害を確認している。
停電は槇島町落合854軒、薗場352軒、大幡211軒、北内190軒など槇島地域で1742軒、宇治里尻289軒、宇治戸ノ内44軒、小桜19軒、池尾49軒など2143軒(復旧済み)に上った。
宇治川の鵜飼が開かれる塔川の宇治川派川では市観光協会が所有している舞台舟(40人乗り)の屋根のシートと樹脂性の化粧板が飛ばされた。
11艘の屋形舟と共にロープで係留させていた。北向きの暴風で屋根のシートや化粧板の破片は花やしき浮舟園や頼通公園まで飛ばされた。台風接近時は南風、通過後は北風――というのが従来からの風向き。南風は護岸が舟の風よけとなっていたが、今回は逆コースのため、護岸が風を除け切れなかったと見られる。
このほか、建設中(解体)の建物の足場やパネル板の塀、看板などが倒れる被害も相次いだ。【岡本幸一】

■「名木・古木」真っ二つ!/城陽市

城陽市では、市の「名木・古木」に認定されている「長谷川河口のエノキ」(市内富野内川)が、台風12号の強風で、根本から半分に裂ける被害があった。「名木・古木」は、その姿や由緒などから親しまれているものだが、一方では樹齢などにより倒壊の危険も高い。市は日常的な点検を行っているが、以前にも台風で倒壊したケースがあり、安全性の確保など、今後の維持管理をどう行っていくか頭を悩ませている。

倒れたエノキは、樹高24㍍、幹まわり3・6㍍。国道24号線をまたぎ(天井川)奈島方面から流れてくる長谷川の河口、木津川の堤防上に立つ。認定の由緒には「昔は、六ヶ池のエノキと呼ばれ、田辺、井手方面から東富野への目印になっていた」と記されている。
「名木・古木」は、2001(平成13)年8月に、城陽市名木・古木選定委員会(樹木医、学識経験者、市民ら10人の委員で構成)で、約170本の候補木から36本を認定した。その後、枯死により8本、倒壊が1本の計9本が認定解除され、新たに11本が新規認定を受け、現在は38本が認定木に。倒壊したのは、今回亀裂倒壊したエノキの近くにあった「富野浜のエノキ」で、04年の台風による。
市は、毎年2月頃と9月頃の2回、樹木医が点検を行っている。今回のエノキは、以前に治療が施された経歴があり、昨年9月にも点検が行われていた。しかし、強風に耐えきれなかったもの。枝が折れた箇所は、枯死状態だった。残った太い枝が2本、堤防上の道路上に伸びており、危険性も考慮して、伐採するかどうか検討することにしている。
なお、市内での瞬間最大風速は32・2㍍(29日午前2時26分)、総雨量は10・5㍉だった。建物は外壁の一部が落下した被害が2軒あった。避難所は6コミセンなど10ヵ所で開設され、7ヵ所に最大21人が避難した。【藤本博】