新茶彩る「茶の木人形」/八十八夜に宇治で展示
古材を巧みに生かした大岩さんの茶摘み人形

「宇治新茶・八十八夜茶摘みの集い」に合わせ、茶の古木を使った宇治ゆかりの工芸品「茶の木人形」の展示会が、宇治市宇治折居の宇治茶会館で5月2日(木)午前10時~午後3時に開かれる。新旧の希少な作品や現代作家による新作まで一堂に紹介し、新茶シーズンを盛り上げる。観覧無料。
茶の木人形は、茶摘み姿の女性が彫刻された小さな人形。宇治の幕府御用茶師だった上林清泉が江戸後期、宇治茶普及の願いと、茶の古木へ謝意を込め作ったことに端を発する。長寿や幸福を招く縁起物として皇室や大名家にも愛されたが、技術習得の難しさから衰退した。
展示会は今年も、茶の木人形研究家で平等院学芸員、京都造形芸術大学・花園大学非常勤講師の田中正流さん(45)=宇治壱番=、彫刻家の大岩広生さん(62)=木幡南山=が催す。

田中さんが収集した味わい深い茶の木人形

田中さんはコレクション約200点のうち江戸後期~平成の作品101点を紹介する。一体の大きさは3~15㌢ほどが中心。赤色の前垂れや手甲、脚絆(きゃはん)まで細かに作りこまれたものや、枝分かれした木の形状から子供を抱く母親の姿を現した作品などを並べる。「茶の木の形を生かした、1体ずつ違う様子を楽しんでもらいたい」という。
一方、大岩さんは約50点出展する。今回の目玉は、米国を主に活躍した稀代の大工で木工芸家、大濱浄竿(おおはま・じょうかん)さんゆかりの木造建物の古材を使った茶摘み人形(高さ56㌢、幅55㌢、奥行き20㌢)。大濱さんが約50年前に手掛けた「仰天房(ぎょうてんぼう)」で知られた伏見区醍醐の材木事務所が昨年解体された際、その古材を譲り受けた。窓枠の形状を土台に取り入れ、ふくよかな茶摘み娘の姿を彫り、木目の風合いを生かすよう控えめに彩色した。
「古材の雰囲気と彫り上げたバランスを感じてもらいたい」と大岩さん。この茶摘み人形は、京都市左京区で仲間と4人で4月30日~5月5日に開催する大濱さんの回顧展の出展作。2日は会期中に当たるが、この日に限り宇治に持ち帰り、展示するという。