流下能力、毎秒1500トンに/宇治川改修、待望の完成
宇治川をバックに乾杯する関係者ら

国土交通省近畿地方整備局が10年かけて整備してきた「宇治川塔の島地区河川改修事業」の完成記念式典が8日、府立宇治公園で開かれた。景観や自然環境に配慮しながら、流下能力を約1・7倍の毎秒1500㌧に拡大させたことで治水安全度が大幅にアップ。府が同時に進めてきた同公園の再整備事業も完了し、関係者ら約300人が祝った。
塔の島地区河川改修事業は淀川水系河川整備計画(2009年3月策定)に盛り込まれ、09年度に事業着手した。宇治川堤防が決壊した1953(昭和28)年の洪水を念頭に毎秒1500㌧(従来890㌧)の流下能力に改修。総額で約60億円を投じ、当初計画より3年遅れで完成した。
具体的には▽宇治川、塔の川の河床掘削▽宇治右岸(宇治山田護岸)セットバック▽締切堤の撤去▽塔の川導水管撤去▽橘島の切り下げなどを実施した。宇治川の護岸は傾斜角度を昔のように緩やかに改良。塔の川の護岸は石積みに改めた。
貴重なナカセコカワニナの生息場を確保するとともに、鵜飼に配慮して塔の川の上流付近に導流堤を新設。改修工事ではサクラなど樹木の大量伐採が問題になったが、途中で見直しを行い、約260本(うちサクラ約140本)と改修前より約60本減にとどめた。
一方、府は約3億円を投じて宇治公園の再整備事業を16年度から実施してきた。トイレのリニューアル工事、園路の石敷舗装でバリアフリー化。照明灯も設置した。
式典は宇治中学校吹奏楽部による演奏でスタート。西脇隆俊・府知事は「宇治公園が観光客、地域の憩いの場として末永く愛されることを祈念する」と、黒川純一良・国交省近畿地方整備局長は「途中で市民から厳しい指導があった。より良い事業にする参考になった」と挨拶した。
山本正市長は「国、府と連携し治水対策はもとより、塔の島地区を中心に良好な水辺空間の形成を推進し、さらになる市の観光発展にも積極的に取り組みたい」と謝辞。くす玉を割り、プレミアム宇治茶「碾玉」で乾杯し、完成を祝った。
なお、塔の島上流の工事用足場は夏頃をメドに撤去予定。宇治橋下流には中州が再度出現しており、同整備局は「改修後の様子を見て対応を決めたい」と話した。