〝駆け込み寺〟維持を/こども110番のいえ
通学路にあたる住宅街に目立つ「こども110番のいえ」のぼり旗(京田辺市山手東)

不審者のリスクに晒された子供たちの駆け込み寺となる「こども110番のいえ」の拡大に向けた地道な取り組みが続けられている。事業所、一般住宅が協力して、旗やプレートを児童らの目に付きやすいように表示しているが、官民協働で周知に努める一方、高齢化によるボランティアの減少も顕在化してきたという。
神戸市須磨区で1997年に発生した「酒鬼薔薇」連続児童殺傷事件を機に、同年6月、京都府内で始まった「こども110番のいえ」は、子供たちが、不審者からの声掛けや付きまとい、痴漢の被害などの危険を感じ、助けを求める際に、110番通報や、警官が到着するまでの一時保護などを行い、地域ぐるみで子供たちを犯罪から守るボランティア活動のこと。府警は当初より事業所や団体、一般住宅に賛同を呼び掛けている。
現在、田辺署管内の登録数は620(京田辺市464・井手町99・宇治田原町57)で、内訳は、事業所275・住宅273・その他72となっている。ボランティアに加わると、緑色のプレートが交付され、玄関先の目立つ位置へ、子供たちが気付きやすいように貼付する。
また、昨年に続いて京都田辺ロータリークラブ(細川治会長)が、青少年奉仕活動の一環として、「こまったらいつでもすぐおいで!」とメッセージを添えた黄色地ののぼり旗(45㌢×80㌢、ポール1・3~2・4㍍に伸縮)240本を同署へ寄贈。より鮮やかなサインを軒先に掲げるサポートの輪が広がり、管内で185本(京田辺市132本・井手町35本・宇治田原町18本)がそよ風にたなびく。
一方、公益社団法人京田辺市シルバー人材センター(竹村三津雄理事長、576人)も地域貢献事業の一環として、「こども110番のいえ」への協力を会員に呼び掛け、賛同した16人にプレート、のぼり旗を交付。10月31日、近鉄新田辺駅東にあるいきいきサポートセンターで開かれた授与式では小冊子にまとめた「活動マニュアル」を配布し、同署生活安全課の長田茉由加少年係長が、付きまといやわいせつ事案を逃避した男児や女子中学生などの効果的事例を挙げるなど、これから活動をはじめようとする有志に「こども110番のいえ」の概要をひも解いた。
そして、人口の流入が続く松井山手で、登下校児の見守り活動をするうち、近所でのぼり旗が立っていることもあって名乗りを上げた会員の内藤孝夫さん(69)=山手東1丁目=は普段、学校がある日の朝は、近くの信号がない交差点で児童の交通安全を見守る。自宅に110番のいえのプレートとのぼり旗を掲げ、「立てなくてもよい世の中であればいいが、今はそうもいかない。何か事が起きてからでは遅い。通学路だし、参加しよう…と。犯罪だけでなく、自然災害も含め、意味があるのでは」と動機を話す。自宅から視界に入る集合住宅を中心に、朝夕は約60~70人の児童が松井ケ丘小との間を行き帰りする。
団体を通した初の活動増強が叶い、同署は「ぜひ、やりたいと言ってもらえた」と感激を隠さないものの、「高齢化が進み、自信がない…と、やめる方も少なくない」と決して見通しは甘くない。岩田宇司生活安全課長は「行政、民間と協働し、永続的に推進する。来週の松井ケ丘小で通学路の安全点検を完了するが、プレートと旗の周知も欠かしていない。誰しも、子供の話は放っておかない。地域、保護者らとしっかり態勢を組んでいく」と力を込める。