フィールドに於ける不覚の負傷で、つくづく健康のありがたさと平凡な日常生活を送れることの幸せを実感した今回の入院・療養生活で、あらためて家族と親近者に感謝の気持ちを募らせました。そして、復活を果たせた10月からのライフワークもこれまでになく充実したものとなって、フィールド探査と12月の「京都環境フェスティバル」に向けて忙しい日々を送っています。
フィールド最盛期には、早朝から深夜まで馬車馬生活が身に付いたナチュラリストも、さすがにこの時期は活動も限られ、シーズンオフを迎えて開催される「日本爬虫両棲類学会大会」での研究発表に向けて資料整理のデスクワークに追われている頃です。そんな年間最大行事を逃す結果となったケガによる入院で、活動母体「城陽パートナーシップ会議」のメインイベント・「第18回城陽市環境フォーラム」とも重なって多大な迷惑をかけてしまいました。
希少野生生物の保護と生息環境保全を掲げて啓蒙活動を続けるナチュラリストも、こうした専門家や公衆のフィルターを経て公的意義を有する郷土の環境資料の作成を心掛け、将来に亘って活用される資料となることを願っています。京都府に於ける最大の環境イベント・京都環境フェスティバルを舞台に、一年間の活動成果の発表でナチュラリストの令和元年を締めくくりたいと思っています。
本当に情けなく辛かった時期を経て、すがすがしい気持ちで物事に臨めた10月からの活動報告続編とエピソードを聞いて下さい。まだまだ自分でも出来ること、自分にしか出来ないことがあると想い直したロートルナチュラリストが、新分野開拓に燃えています。

◎ハッピーライフ・続編

城陽市役所環境課に事務局をおく城陽PS会議では、野鳥カメラマンの山中十郎さん(写真①右)から、寄贈された全380種類8700枚の野鳥写真を、広く有効活用できることを願っています。10月26日に開催された和束町の野生生物生息調査中間報告会では、鳥類目録ダイジェスト版に添えて、A4版の写真132枚に種類ごとに「絶滅危惧種」などレッドリスト別にカラーシールを配した写真版鳥類目録を紹介しています。(写真②)
12月7・8日に京都パルスブラザで開催される京都環境フェスティバルで、和束町のブースと共に城陽PS会議でも展示資料に活用しています。山中さんの30年間に亘る集大成は、京都府産生息鳥類を網羅するものであり、これまでもレッドデータブック記載の生き物写真の提供で協力してきた京都府にも、絶滅寸前種から要注目種までレッドリストに記載の全108種類の野鳥写真を謹呈し、野鳥保護の啓発に役立てて頂きたいと願っています。
また、城陽PS会議では「生き物ハンドブック・植物編」を環境フェスティバルで公表致しますが、監修者となっていただいた宇治市植物公園の魚住智子園長さん(写真③右)には、山中コレクションから宇治市の鳥・カワセミの写真を進呈しています。魚住先生とは小学校の野外実習授業でご一緒し、11月2日に創立50周年記念式典で発表会があった宇治市立西大久保小学校では、バンダナ姿のナチュラリスト君(写真④)の「名木川の生き物」解説と植物の先生・ウオズミさんの熱演に迎えられました。紅白のお饅頭と記念品のお返しは、カワセミの写真にスッポンの仔2匹がおまけです。
もちろん、生物調査の主管である和束町教育委員会の町史編さん室には町を代表する野鳥をセレクトしたパネル版を真っ先に届け、宇治市の「更生保護・サポートセンター」にも郷土の野鳥写真を進呈しています。(写真⑤⑥) ナチュラリストのもう一つの顔が保護司であり、生き物に造詣が深い岡田甚一会長(同右)にはこれまでにもたくさんの情報提供を受けてきました。
そしてこの度、法務大臣表彰の栄誉を得て、10月7日の天皇皇后両陛下御臨席の記念式典に参加することとなり、気になっていた恩師の墓前に朗報を届けることができました。今回の入院で、和束町の調査報告や日本爬虫両棲類学会での研究発表の期日など、精神的にもどん底にあった時、日本鳥学会の恩師・中村司先生が夢に現れ、励ましを受けたことが大きな転機となりました。昨年の11月24日に亡くなり、初盆にお参りを予定するも台風の襲来で機会を逃し、一周忌は今年も日本爬虫両棲類学会大会と重なっていました。
ほとほと疲れ切った入院生活も一週間目、夢に現れた中村司先生が、生前の優しいまなざしそのままに、『みんな解っていますので、ゆっくりなさい…』涙で目が覚めた際にも、その存在をはっきりと感じることができました。『親父、お袋でさえ夢枕に立ったこともないのに…。』と、上野きよ子さんや大植登先生たち中村司先生ゆかりの人たちへの報告も涙声になってしまいます。
もう一度夢でお礼をいう機会を待ちながら、記念式典翌日の10月8日に先生が眠る山梨県甲府市のお墓に報告とお礼のお参りに行ってきました。ご実家への迷惑は本意ではなく、一日がかりでも先生のお墓を見つける覚悟も、墓地の管理者から教えられてラッキーでした。墓前ではゆかりの野鳥ネクタイに、トレードマークのバンダナも外して、コンマに刈り上げた頭での読経に、鳥たちも参加してくれました。(写真⑦)
胸のつかえも降りて、喜々としてフィールドに復帰した木津川川仕舞いでは、スッポンと共にウナギのゲットでシーズン終了を迎えました。(写真⑧) 木津川放流の機会を逃した岐阜大学での研究に貢献してくれたスッポンたちは、カメゆかりの名古屋の川原神社に奉納してその責を果たしています。(写真⑨)
和束町の調査でも、鳥類標識調査と共にコウモリ調査で大きな進展がありました。完全復活を果たしたナチュラリストの、雑多な活動報告続々編をお待ち下さい。

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