未来へ進める安心・安全/京田辺「こどもとごはん」
葉っぱも付いたままで実の詰まった有機野菜を楽しみにする

「学校給食にオーガニックを!」の呼び掛けに賛同する母親と生産者らが立ち上げたネットワーク「こどもとごはん」が多彩な活動を繰り広げている。「畑のおやさい便」では有機栽培された豊富な種類の野菜を心待ちにする地元住民の笑顔が広がっている。
京田辺市興戸久保にある龍馬館では2月、恒例となった「畑のおやさい便」を注文した女性らが足を運び、市内で唯一の有機JAS認証を受ける生産農家の金子淳(あつし)さん(38)=草内=と会話を弾ませた。
京田辺で「学校給食にオーガニックを!」の呼び掛けに応じた地元と近隣の生産者、母親らが2019年11月、「食」を共通項に集い、翌年3月に「こどもとごはん」と命名。作る人と食べる人をつなぐネットワークは、メンバーそれぞれの叶えたいものを相互補完しながら実現させようとするものだ。
学校給食への取り組みのほか、新規就農者の支援、畑のおやさい便、農カフェ(交流会)マルシェ、食育体験イベントなどの企画・運営に取り組んでいる。
代表の浦田ヒロ子さんは約10年前に京田辺へ転居。3児の母で、「生で食べてもえぐみのない野菜を子供たちも楽しみにしている」と、連携する生産農家が手塩に掛けた有機野菜にほれ込んでいる。

生産農家の金子さんが龍馬館まで届ける「畑のおやさい便」

龍馬館を中心に毎月2回(不定期)運ばれてくる「畑のおやさい便」には現在、約30組の住民が登録。1回につき15組ほどが注文して三々五々、引き取りにやって来る。
脱サラして大阪市内から京田辺に移り5年になる金子さんは、化学肥料を一切使わない少量多品種の有機栽培を進める。この日も、生き生きとした葉っぱ付きのカブやニンジン、九条ネギ、ホウレンソウなどを並べ、常連の女性らが野菜を手に取って、すっかり慣れ親しんだ風味をたたえた。
同志社山手に住む塚原節子さんは「月2回、利用している。新鮮で元気がよく、おいしい。あまい」、同・谷惠子さんは「毎朝、ニンジンスープにしている。スライスしたスティックも最高によい。春の味の菜花も格別」ととても気に入っている。
金子さんは「京田辺に来た頃は有機をやる人がいなかった。ここでの出会いは運命。就農を考えている人は、既にやる若者がいれば入りやすい。有機野菜の需要は確実に増えている。広がればよい」と展望しながら、「給食は物量が要る」と課題を指摘する。
「こどもとごはん」はフェイスブックページのほか、公式ラインアカウントで注文も可能。問い合わせはメールkodomotogohann@gmail.comで。