5日は、例年なら中宇治地区が多くの人出で賑わう県祭(あがたまつり)の日だが、新型コロナウイルスの影響で今年も梵天(ぼんてん)渡御や露店の出店を見送った。当日は関係者のみで「居祭(いまつり)」による神事を執り行い、穏やかな週末となった。
県祭は木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)を祭神とする県神社の大祭として江戸時代に始まったとされる。奉書紙を束ねて球状にした梵天には、神霊が依り憑くと言われており、深夜に渡御を行うことから別名「暗夜の奇祭」として知られる。
梵天を奉納する宇治蓮華の県神社、宇治壱番の宇治神社御旅所では、神事が粛々と行われた。
宇治神社御旅所では午前10時から、花房義久宮司が本殿で「幣渡祭(へいとさい)」を営んだ。同神社のご神体から御霊を移した唐櫃(からびつ)を前に、祝詞を奏上し玉串を捧げた。
花房宮司は「感染の広がりが心配なので、今回も神輿の巡行などは取り止めざるを得なかった。昨年に引き続き、さみしい形になってしまって残念です」と話し、早期の収束を願った。なお、13日には御霊を神社へ移す還幸祭(かんこうさい)を簡素に執り行う。
一方、県神社では午前10時から「朝御饌(あさみけ)の儀」が営まれた。
午後5時からの「夕御饌(ゆうみけ)の儀」では、同神社総代や後援会「木の花会」、梵天渡御実行委員会、梵天講などの代表者ら約10人が参列した。
本殿で田鍬到一宮司が祝詞を上げた後、五穀豊穣を祈る神楽「豊栄(とよさか)の舞」の奉納があった。参列者たちは、順に神前へ玉串を捧げた。
今年も神事終了後の直会(なおらい)は見合わせ。田鍬宮司は「今年もコロナで諸行事を中止し、縮小開催とした。8日の大幣神事の日は、神主たち数人だけで地域の角々をお祓いして歩きます」と語った。