2年ぶり今秋、月読神社に/京田辺市無形文化財「大住隼人舞」
大住隼人舞で新しく舞人となる地元の中学生らも決意新たに

京田辺市無形民俗文化財で、秋の夜、地元神社に奉納される大住隼人舞―後世へ末永い継承を誓う「大住隼人舞保存会」の年度総会が24日、北部住民センターで開かれ、奉納舞(10月14日・月読神社)の実現へ向けた事業計画などを申し合わせた。コロナ禍、昨年は奉納舞を中止。新たに若々しい舞人も加わり、一刻も早い感染禍の収束を願っている。
隼人舞の起源は、日本書紀に登場する海幸彦と山幸彦。溺れているところを山幸彦に助けてもらった海幸彦がその様子を演じ舞った。
薩摩地方(鹿児島県)に伝わった神舞は約1300年前の奈良時代、薩摩隼人たちが大住に移り住んだことで宮中での朝貢舞、雅楽の源流になったという。
その後、機運も高まる中、1971(昭和46)年、月読神社の秋祭りの境内で500年の時を経て長らく途絶えた隼人舞が復活。
75年に当時・田辺町の無形民俗文化財第1号に指定された。
保存会は76年に結成され、同年に中学生舞人が誕生。大住地区の中学生舞人は代々、毎年10月14日の夜、月読(西八)・天津(岡村)の両神社で隼人舞を奉納する。
しかし、昨年度はコロナの影響で総会と隼人舞の奉納も中止。
一方、大住小学校で出前授業を行い、明治安田生命クオリティオブライフ文化財団による助成が決まり龍笛奏者の衣裳を新調する予定もある。
総会では、はじめに石坂清会長が「1年間の活動停止は伝統芸能の継承に大きな影響があった。感染対策を十分に行い、練習と奉納を再開したい」と挨拶した。
このあと、石坂会長から引退者に感謝状を贈呈し、加入者に委嘱状を交付。感染防止のため来場者を制限する中、山岡弘高教育長と出席した上村崇市長が「文化財は市民の宝。継承は、まちへの誇りと愛着を育むのに大切なこと」と来賓祝辞を添えた。
議案審議では、普及と会員拡大をはじめ、リモートを活用した龍笛・舞・踊りの練習会の実施、感染予防のために月読神社のみとする奉納舞(10月14日)などの事業計画、予算案などを承認した。