歩いて、学んで、味わって/久御山
浜台の茶園をバックに木津川堤防を歩く参加者

全世代が「歩く」ことで心身の健康づくりと病気・介護の予防を目指す「歩くまちくみやま」を展開する久御山町が5日、ウオーキングイベントとシンポジウムを同時開催した。参加者は、ウオーキングでは心地よい汗を流したほか、大学教授から歩くことの意義を学んだ。

浜台の茶園について説明する阪田さん(右)

町とお茶の京都DMOが共催したウオーキングには17人が参加。佐山西ノ口の「浜茶いこいこうえん」に集合した一行は、日本遺産「流れ橋と両岸上津屋・浜台の浜茶」の景観を望みながら、役場までの約1・7㌔を歩いた。温かい春の日差しを浴び、ゴール地点の町役場を目指して木津川堤防沿いを進んだ。
スタート地点のあずまやでは、目前に広がる佐山浜台で茶園を営み、昨年の全国茶品評会のてん茶部門で農林水産大臣賞に輝いた阪田広樹さんが〝サプライズゲスト〟。参加者に「浜台は上流から肥えた土も運ばれ、茶生産の適地」などと紹介。道中では、流れ橋、ゆめタワー137、室城神社などを「ええとこ久御山見つける会」の4人が詳しくガイドした。

役場ロビーでは茶道サークルによる抹茶のおもてなし

役場に到着した一行は、1階ロビーで「黄金の茶室」を見学し、茶道サークルから阪田さんが生産した日本一の碾茶を使った抹茶のおもてなしを受けた。
久御山町に住み始めて10年ほどという70代の女性は「ガイドの方に(久御山の)知らないことを教えてもらえた。距離もちょうどいい。抹茶、和菓子は最高でした」と満足げ。他の参加者とも交流でき、心地よい疲労感に包まれていた。

■講演と実践で「歩く」を解説/筑波大・山田教授
一方、役場のコンベンショホールでは、筑波大学人間系・山田実教授を招いてのシンポジウムが開催された。
第1部の「ウォーキングの効果的な実践法」と題した講演では、そのポイントなどを解説した。
その中で教授は、体を動かし続けることが重要で、今しっかり歩いておくことが将来の健康につながると強調。1日8000歩を目標に無理せず徐々に歩数を増やすことを勧めた。

ウオーキングの実践法を解説する筑波大・山田教授

そして、毎日続けることが何よりも大切で、誰かと一緒にやることが効果的と伝えた。歩いた記録の「見える化」も継続する上でのポイントで、教授も「おもしろい」と評した町公式アプリ「夢見る健幸・くみやまALUKO」の活用を勧めた。
最後に、町ぐるみで展開したウオーキングプロジェクトが大きな効果を生んだ京都府伊根町の成功事例を紹介。町と住民が一体となって「歩くまち」を進め、健康長寿の町になることを期待していた。
第2部では「正しい歩き方」を紹介。あごをひく、かかと着地、背筋を伸ばすなど、良い歩き方のポイントを10個挙げた上で、歩く時に、へそからつながったロープを引っ張られているイメージと、腕を後ろに引くことだけを意識すれば、全てのポイントが達成でき、美しい歩き方になると説明した。
このほか、イスに座りながら「1・2・3・4」と前後左右にステップを踏み、例えば「1」の時に国名や魚名などを言いながら行う、認知症予防にもつながる運動も紹介した。
歩き方を学んだ70代の女性は「歩くことでいろんな筋肉をつけられると知った。ALUKOで毎日の歩数を確認して、無理せずがんばります」と話していた。