命あふれるビオトープへ/宇治・南部小「ひょうたん池」
生物を呼び込む仕掛けとして、池の斜面に土を盛る親子

宇治市立南部小学校(姫野友美子校長)の校内にある「南部の森」で、『ひょうたん池の水ぜんぶ抜く大作戦』が行われた。荒れ果てていた「ひょうたん池」が、生き物を呼び込む美しいビオトープに生まれ変わった。
これは、長年手入れが行き届いていなかった池を命あふれるビオトープとして、よみがえらせようという取り組み。2020年度の同校創立50周年時に発足した「学校創立50周年記念実行委員会」の保護者有志メンバーを中心に、昨年度末にスタートした。より多くの生き物が棲める本格的な池に作り替え、児童の生き物観察にも役立てる。
50周年時に予定したが、新型コロナの影響で実施できていなかった。
ビオトープ化には、講師としてNPO法人ビオトープネットワーク京都の中辻英克理事長を招いた。
今月14日の作業に先立ち、春休み中の3月下旬には、約70人の親子がひょうたん池の水を完全に抜き、堆積したヘドロや雑草を除去した。その際にはミズムシ、シマイシビル、イトミミズ、サカマキガイ、モツゴ、ゲンゴロウ、ギンヤンマやイトトンボのヤゴなど、様々な生物も発見。棲みかを一旦、校内の「六角池」に移動した。
今回の作業はその〝続編〟。親子約40人が中辻さんの指導を受け、より多くの生き物を呼び込めるよう池の斜面に粘土質の土を盛り、ハンマーやスコップで叩いて定着させた。その土が池の底に流れ落ちるのを防ぐため、なるべく隙間ができないよう大小の石を並べて土留め。元々植わっていた植物も植え戻した。
その後、水を張り、六角池に退避させていた生き物を網ですくい、ひょうたん池に戻した。

脱皮するトンボを見つめる児童たち

植物を植え戻す際には、ヤゴから脱皮したトンボの姿も見られ、歓声が上がった。
親子は泥んこになりながらも、生き物が新たなひょうたん池を棲みかにしてくれることを願って、作業に汗を流していた。
元育友会長で今年度からCS(コミュニティ・スクール)コーディネーターに就任した湯浅真由美さんは「悪臭を放ち、子供たちも寄り付かない状態だった。何とかしたいと思っていた」と安堵の表情。
姫野校長は「この取り組みは地域学校協働推進活動(保護者や地域の人と連動し、子供たちの学校生活や学びを充実させる活動)の基盤として今後も継続し、学習環境を改善する取り組みの先駆けとしたい」と話し、「自分たちで作ったビオトープを大切にしてもらいたい」と期待していた。