【中川宗孝(環境生物研究会・城陽環境パートナーシップ会議)】

今年もカウントダウンが始まりました。長引くコロナの影響で、ナチュラリストのライフワークとする活動も決して満足のいくものではありませんでしたが、活動母体の「城陽環境パートナーシップ会議」の年間最大行事と位置付ける「第21回城陽市環境フォーラム」を3年ぶりに通常開催でき、早くも新年度に向けての取り組みに熱い討論が展開されています。
昨年の「生き物ガイドブック・昆虫編」に続いて、今年は「キノコ編」を作成して好評を博したシリーズ第5弾となる次回作は、「淡水魚編」と決定しました。水棲昆虫に淡水貝、甲殻類なども一部取り入れる案などを検討し、全国に誇る郷土の環境資料となる自信作の作成で期待に応えたいと考えています。
依然コロナの猛威が続いた2022年も、最終盤にサッカーワールドカップ・日本代表選手の活躍に元気をもらって新たな年を迎えられる幸福感は、日本人であることを実感させる郷土愛にも通じる想いです。サムライブルーからもらった感動を、ふるさと城陽市と南山城地方の自然財産である希少野生生物たちの保護と生息環境の保全を願っての2023年の活動に活かして貢献できるよう頑張る所存のナチュラリストです。
来年の京都府レッドデータブック改訂版の発刊を受けて、当紙面でも関連の詳細報告で記事のグレードアップと精度の高い文献資料として活用の幅を広げたいと願っています。今年も元気で乗り切ったロートルナチュラリストの活動記録と生き物トピックスに多くの紙面を割いて、パネルキャプションで一年の締めとしています。ご愛読ありがとうございました。

◎活動日記と生き物トピックス

アニマルニュースのトップは、福井惇一君たちと和束町で発見した絶滅寸前種・ユビナガコウモリ(写真➀)です。その同じ隧道で標本用に採集したオオゲジゲジ(写真②)と、宇治田原町の倉谷勝巳さんが採取されたヤマナメクジ(写真③)や中村勝之さんが捕獲されたシマヘビ共々子供たちの生き物教室に持参し、大いなる歓迎を受けています。後期から復活した城陽市立富野小学校の生き物クラブの指導には、定番のカメにスッポン、ヘビの他、駆除するヌートリアの屍も持ち込んで披露しています。(写真④⑤⑥) 感性豊かな子供たちが、こうした生きた教材とのふれあい体験で様々なことを学んで成長してくれることを願っています。
さすがに毒蛇のマムシ(写真⑦)はご法度ですが、イモリ(写真⑧左)とヤモリの比較や、京都市の天然記念物・ミナミイシガメやモクズガニ(写真⑨)などめったに見られない希少な生き物たちとの出会いは一生の思い出になることでしょう。昨年、オオゴキブリやマイマイカブリを発見してくれた里の西保育園の園児たちとは、今回はヤモリやヒバカリの仔ヘビを見つけました。(写真⑩)
今年無事に開催できた城陽環境PS会議主催の夏恒例の「今池川水辺の生き物観察会」では、カメ罠にスッポンが入っていてテンションが上がりました。ナマズにシマヘビも捕獲し、思いがけない幸運な発見がアカミミガメの産卵でした。来年度からは駆除の対象となる生態系をかく乱する特定外来生物です。ちょっと複雑ながらも卵を掘り出し人工孵化にチャレンジの教材となりました。(写真⑪)
また、新種の淡水魚・ナガレカマツカの発見が自慢の和束川の野外実習授業では、今年も和束小学校4年生たちとカジカガエルの鳴き声を確認し、絶滅寸前種のスジシマドジョウにサワガニやイモリなど、他では見られない生き物たちを捕獲確認しています。(写真⑫)
その前日、準備のためにカメ罠などの漁具を仕掛けに行ったところ、アライグマがヨシ原に潜んでいるのを見つけました。外来生物駆除を旗印に狩猟免許を取得したナチュラリストハンター、大立ち回りの末に網での捕獲に成功し、和束小学校の長村先生・赤司先生に報告です。(写真⑬) その後は猟友会会長宅に届けて…ラスカル鍋に!? そんなハンター仲間たちも自然観察会のサポートやスッポン漁の相棒となっています。10月の南山城村自然観察会には、10人ものサポート参加があり、60㌢を超える個体もいるというシーボルトミミズを手に記念撮影は京都市から参加の青木さんです。(写真⑭⑮)
地元南山城村の古田朝穀さん(写真⑯右)とは、これまでも京都府の希少野生生物に指定のカスミサンショウウオ(ヤマトサンショウウオに改名)やカメ類調査の協力者で、来年度に南山城村で予定している日本一の大スッポン捕獲プロジェクトの相棒です。ハンター仲間の牛島さんに京大生の廣田君・大島君たちと共にオリジナルスッポンモンドリ漁の漁師体験で本番を楽しみにスタンバイしています。(写真⑰)
鳥ネタ紹介も及ばず、サイエンスキッズ夏祭りや子ども科学教室、太陽が丘での水生昆虫観察会に夏休み親子昆虫採集会に展示会などなど、まだまだナチュラリストの活動イベントの記録が残る2022年、天に感謝の充実の一年であったことを実感しています。人生の第4コーナーを過ぎて尚、フィールドの夢を追いかけ郷土の自然財産である希少野生生物たちを次代に引き継ぐ使命に燃えるナチュラリストをこれからも見守って下さい。よいお年を。