企画展「発掘ものがたり宇治2024」/4月21日まで・宇治市歴史資料館
宇治市木幡にある浄明寺跡の出土品が並ぶ

宇治市歴史資料館の収蔵展示室で、企画展「発掘ものがたり宇治2024」が開かれている。現在進行している「紫式部ゆかりのまち宇治魅力発信プロジェクト」に合わせ、平安時代の遺物や関係写真などで宇治の歴史をたどる。4月21日(日)まで。
会場に入った正面に、藤原道長が寛弘2(1005)年に建立した浄妙寺跡の史料が並ぶ。木幡の地に眠る藤原氏の菩提を弔うため、今の木幡小学校がある場所に建てられた。
文献などには登場するが、調査が進むまでは詳しい場所が分かっていなかったという。出土品の中には、白磁に分類される陶磁器の中でやや青みがかった最高級品の「青白磁」が含まれており、当時の藤原氏が高級貴族だったことを証している。
奥に進むと、平安後期の康和4(1102)年、関白藤原頼通の娘・藤原寛子が創建したと伝わる「白河金色院」の出土品と史料がある。調査では平安時代の仏堂跡が確認され、銭貨や鏡、金箔片など豪華な品が出土している。

宇治妙楽の市街遺跡から出た井戸

平等院旧境内遺跡から発見された下駄や、宇治妙楽付近にあった平安貴族の邸宅跡から出土した井戸(高さ約1㍍で、常設展示室に展示)などは、木製のため土に還って残りにくいにもかかわらず、水分を多く含んだ周囲の土壌に「保護」されていたため、運良く残った物となっている。
なお、宇治市広野町で行われた最近の試掘調査(昨年8~9月の一里山遺跡)では、柱穴や広野廃寺の瓦を含む瓦溜まりなどが見つかったが、今回の展示には反映していない。
入館無料。時間は9時~17時で、月曜・祝日は休館する。問い合わせは℡0774‐39‐9260。