
宇治市歴史資料館(家塚智子館長)で、企画展「お茶の歴史資料」が始まった。主に江戸・明治・大正時代の販売・広告にスポットを当て、引き札、錦絵、ポスターなど、資料40件74点、パネル1件6点が展示されている。
引き札は、客に配る宣伝用のチラシの類いで、商品名と価格の一覧だけもあれば、家の中に張ってもらおうと、美麗な絵入りもある。「茶商溝田本店引札」は、富士山や鶴といった縁起の良いものを描いた絵の下に、1902(明治35)年の略暦が記されている。店の住所は長崎市。神戸の茶商の引き札もあり、日本茶が海外貿易で活況を呈していたことが見て取れる。
宇治茶は、江戸時代以降、名産品として広く知られるようになった。「日本山海名物図会2」(1754=宝暦4=年)では「宇治茶摘」が項目として取り上げられ、絵入りで解説されている。
明治時代後期から昭和時代初期には、旅行などの土産物として絵はがきが人気を博した。「絵はがき『茶摘み』」(大正~昭和時代初期)は宇治茶の茶摘み風景を写真で写し出している。
一風変わったものとしては、「宇治チーインガム」(UJI TEA IN GUM)がある。抹茶を原料とする嚙み茶で、茶業研究所が1931(昭和6)年ごろに開発し、関係者に配ったという。
担当学芸員の藤岡琢也さんは「宇治茶は江戸時代から、宣伝方法を変えながら全国へ広がっていった。引き札は華やかなデザイン。楽しんで見てもらえたら」と話している。
6月25日(日)まで。午前9時~午後5時。月曜休館。観覧料無料。