企画展「宇治と憂し~ゆめかうつつか~」/11月26日まで・宇治市源氏物語ミュージアム
1831年に刊行された「京都順覧記」。宇治橋や平等院の記述が見える

宇治市源氏物語ミュージアム(宇治東内)企画展示室で13日から、企画展「宇治と憂し~ゆめかうつつか~」が始まった。宇治川など風光明媚な景色を描いた屏風絵をはじめ、文書記録や絵入りの解説本などを並べ、江戸期の宇治と人々の暮らしを知ってもらう。
会場奥の「宇治名所図屏風」には、中央に宇治橋、向かって右に平等院、左に宇治上神社、興聖寺が描かれている。通園茶屋で一服する人の様子や、江戸初期に開山した黄檗山萬福寺のたたずまいも見え、リアルな宇治の姿を映し出している。
一度行ってみたい…そんな夢が広がる宇治の歴史を解説する本の数々が、会場右側に並んでいる。1711年刊行の「山州名跡志・巻十五」は、宇治橋や橋姫社などの名所旧跡の由来を解説。1780年の「都名所図会」は挿絵をふんだんに用いたことで人気を博したという。
江戸後期になると、神仏霊場への参拝などを目的に多くの人たちが旅に出かけるようになる。1831年に出た「京都順覧記」全3冊は、縦が約10㌢の小型本で、携帯も可能な大きさ。京の旅のハンドブックとして親しまれた。
浮島十三重塔は1756年9月に発生した宇治川大洪水で倒壊した。会場左側には塔のパネルと、流出後に槇島で発見され橋寺放生院で預かることになった納入品の「覚書」が展示してある。
資料20点・パネル2枚。11月26日(日)まで。途中展示替えあり。午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)。月曜休館(ただし9月18日と10月9日は開館、翌日休館)。観覧料は、大人600円、小人300円。問い合わせは同館℡0774‐39‐9300まで。