大河ドラマ『光る君へ』(NHK)で放映された、京の都から越前への旅路を、平安時代の儀式や行列で再現する『紫式部の旅』が18日、宇治市の世界遺産・宇治上神社(宮村徹宮司)を起点にスタートした。
紫式部プロジェクト推進協議会(越前市などで構成)などが主催し、宇治市などが共催。20日までの3日間、紫式部ゆかりの宇治市、大津市、福井県(敦賀市、南越前町、越前市)を舞台に、公募で選ばれた一般市民が平安装束で当時の旅を再現する。宇治会場には33人が参加した。
この日の午前9時、拝殿前で山田賢一・越前市長、松村淳子・宇治市長が挨拶。山田市長は「(実際に国府下向の旅があった996年から1000年経った)1996年にも紫式部の旅を行っている。今回も当時の空気感を味わいながら平安をしのぶ旅になれば」と願った。
出立の儀では、父・藤原為時役の福本徹さん=宇治市=の隣で、紫式部役の井上花音さん=同=が歌を詠み、都に残る侍女へ手紙を渡すシーンを演じた。陰陽師が勇ましい声で呪文を唱え終わると、一同が「おお!」と拳を挙げた。
正面鳥居を出た旅立ちの行列は、宇治川右岸を通り、宇治神社前で一旦休止。紫式部が輿から降りると、朝霧橋を通って再び進み、宇治公園を目指した。歴史を今に伝える光景を収めようと、見物人たちがカメラを持って待ち構えていた。
雨が降りそうな空模様ではあったが、天候は何とか持ちこたえ、無事に行列は終了。松村市長は「(連携協定を結んだ宇治・大津・越前の3市が)紫式部ゆかりのまちとして互いに発展が望めると思う。歴史そのものが街に根付いているという思いを一つにまとめていければ」と話していた。