勝谷氏が初陣圧勝/宇治田原町長選
万感こみあげる勝谷聡一さん(中央)は積み重ねた票の重みをグッと噛み締める

任期満了に伴う宇治田原町長選挙は、季節を分けるという「節分」の2日に投開票され、新人の元町職員・勝谷聡一氏(銘城台・47歳)が圧勝。最年少町長として新たな季節の扉を開ける。「アワード2024」を受賞した『スーパー公務員』としても注目を集める存在だったが、昨年12月2日に役場を退職、翌3日に出馬意思を表明して以降、対話重視を基本姿勢に「まちづくりのことを話そう会」を断続的に開催し、500人を超える住民の「思い」を吸収。「ともに未来へ」と支持拡大を図ってきた。選挙戦では独自路線の第三候補による「揺さぶり」を受ける中、政治力を前面に打ち出す現職・西谷信夫氏(禅定寺庄地・65歳)と真っ向勝負。SNS戦略で若者、子育て世代へのアピールも強め、幅広い層から「声なき声」を集めた。
4選を目指す現職に、直前まで町職員だった新人が挑むという構図は、24年前の「2001町長選」の再現。
01年は、自民党推薦をはじめ各種団体の支持を得た現職の光嶋晴夫氏(当時67歳)が「山手線の事業化」を訴え、告示2週間前まで町職員だった当時49歳の奥田光治氏が「みんなで話し合い、力を合わせる町政を実現させよう」とアピールして対戦。光嶋氏2213票、奥田氏3685票で最年少町長(当時)が誕生した。24年後の今回は「山手線整備の完遂」を訴えた西谷氏(65歳)を「対話重視」を掲げた勝谷氏(47歳)が破り、新たな最年少町長となった。
人口減少により投票総数は違うが、01年の得票率は奥田氏62・48%、光島氏37・52%に対し、今回は勝谷氏61・97%、西谷氏38・03%。まさに「時代は巡る」という結果となった。
「わかりやすい情報発信による町政の見える化」「学生・高齢者の移動ニーズに寄り添う施策」などを新ビジョンとして掲げた勝谷氏。稼げる自治体となって生み出した財源を未来に投資し、まちに前向きな波を生み出す…と訴えてきたが、その「未来創造計画」が、これから動き出す。