
城陽市寺田の水度神社(水田清比古宮司)に10ある境内社の中で唯一、地元住民らにより講(こう)が組織されている「稲荷講社」。2018(平成30)年9月4日の台風21号による暴風雨被害で、お社や拝殿、鳥居、鉄柵などが大きな被害を受け、まもなく7年の歳月が経過しようとしている。そんな中、門扉を含む全ての改修工事が、このほど完了。2日に同神社氏子総代や寺田稲荷講の役員らが参列し、喜びの竣工奉告祭が執り行われた。
水度神社は、もともと鴻ノ巣山と峰続きにある「太神宮山」にあったと伝わるが、鎌倉時代の1268年(文永5年)に現在地に遷し奉り、室町期には「一間社流造、正面千鳥破風付、檜皮葺」の本殿が建立された。創建年代が明確になっている市内社寺で最古を誇り、国の重要文化財に指定されている。
その本殿は、平成~令和にかけて大改修工事が行われ、2019年10月に竣工。実に37年ぶりに鮮やかな朱色の本殿が輝きを取り戻し、旧寺田村の氏神として、地元住民に信仰されている。
同神社には、境内社が「10」あり、その中で唯一、稲荷講社だけが「寺田稲荷講」という名の講(こう)が組織され、毎年2月の「二回目の午の日」(来年は2月12日)に『二の午祭』という祭礼が執り行われる。

ただ、その稲荷講社は、水度参道の「境内坂石階」脇に位置し、周囲を木々で覆われているため、山城地域でも最大瞬間風速40㍍以上を記録した2018(平成30)年9月4日の台風21号による暴風雨で倒木に遭い、お社が傾くなど大きな被害を受けた。
神社の境内全体が京都府「暫定登録文化財(史跡)」に指定されているため、被害の翌月から着工した稲荷講社「お社」の修理に際しては、府と市それに寺田財産区からの補助金を受けた。しかし、鳥居や鉄柵、門扉など対象外の修理費については、寺田稲荷講の会員約30人の寄進などにより賄い、約7年の歳月を経て、その全ての工事が先月22日に完了した。
これを受け、2日午前10時30分から、水田宮司の導きで氏子総代会の西山英治会長、植村幹男副会長、寺田稲荷講の中島斉一会長、杉山公一副会長、赤島寛会計、それに工事関係者らが参列する中、厳粛に竣工奉告祭が執り行われた。
神事では「斎主」の水田宮司による祝詞奏上、四方清祓などの後、参列者が順番に、復元された「お社」に玉串奉奠、稲荷講社が立派に元通りの姿を取り戻したことを喜び、五穀豊穣等の祈りを捧げた。
雨の降る中、無事に神事を納めた参列者らは、社務所内に入り、寺田稲荷講の中島会長、氏子総代会の西山会長が改修工事に尽力した人々への感謝を込めて挨拶。水田宮司から復旧にあたっての経緯等を説明、施工に携わった関係者から鉄柵や門扉の復元に際しての苦労話を聞き、しばし歓談のひとときを過ごした。