町内初 タイムライン完成/久御山・双栗自治会
完成したタイムラインを手にする新旧会長の山本さん㊨と坂井さん

久御山町の双栗(さぐり)自治会が、水害時の避難行動をまとめた事前防災行動計画「タイムライン(TL)」を作成した。住民に緊急避難を呼び掛ける「避難勧告・指示」が発令される一歩前の「準備」段階で担当者らが全戸を個別に訪問、自治会と一緒に避難するか意向を確認しておき、「逃げ遅れゼロ」につなげる。同町初のTLで、平時から防災意識を高める。
TLは、台風や大雨といった水害や地震などの災害に備え、「いつ」「どこに」「どのタイミングで」避難するかどうか、取るべき対応を時系列で整理しておく。
双栗自治会では、40世帯約90人のうち夫婦や単身で暮らす高齢者の割合が高く、有事の避難の在り方が課題。それらの背景もあり、自治会として防災行動のベースを作ろうと、昨年6月ごろからTL作成に取り組んだ。
同自治会のTLは、危険度に応じた5段階の大雨・洪水警戒レベルで「レベル4(避難勧告・避難指示)」の一つ前の段階、避難準備を促す「レベル3」が町から発令された時の対応が特徴。自治会役員や自主防災会の担当者が各家を訪問して避難準備を周知し、レベル4に引き上げられた場合、指定避難場所の久御山高校に自治会と一緒に避難するか個別に意向確認するよう定めた。全住民の避難の仕方を把握することで「逃げ遅れ」の発生を防ぐ。
自治会で集団避難する際は、希望した家庭に声掛けをして集会所前に集まり、徒歩で同校に移動する。自治会が住民に行った避難行動に関するアンケート(35世帯が回答)では、同校以外の場所への避難も含め、自治会と一緒に行動すると20世帯が返答していた。
TLの作成にあたり、住民はワークショップ(WS)などで府や町からアドバイスを受け、議論を深めてきた。昨年9月末に集会所で行われたWSでは、自治会や自主防災会の役員らが排水路など地域の危険箇所を地図に書き込み、「情報がみんなに行き渡るようにするのが一番大事」などと意見を出し合った。
前年度の会長でTL作成に中心的に関わった山本幸男さん(68)は「作りっぱなしではだめ」と状況に応じた見直しを見据える。現会長の坂井良裕さん(63)も「災害時に1人で避難できない人もたくさんおり、役員が声掛けをして誘導することが大事。今回が完全な形ではなく、みんなの意見を聞いて検証し、もっと充実した物にできれば」と話している。