「やさしい日本語」がベース/災害時の外国人対応
避難所にやって来た外国人への対応をシミュレーション

外国人居住者が年々増え続ける京田辺市では、「まったく話せない」から資格取得を目指すまで、様々なレベルを対象にした日本語教室が外国人の習熟度をマンツーマンで高め、暮らしやすさ、安心感をじわりと広げるのに一役買っている。時折しも、新型ウイルス感染防止のため、非常時ともいえる態勢を敷く中、自然災害のみならず、日常生活でも必要な数々の情報を得るための支援が行き渡る体制づくりが急がれる。
京田辺日本語教室は、市立中央公民館と京田辺国際ふれあいネット(西川宣昭代表)が共催。海外赴任の経験が豊かな元ビジネスマンらが教師(ボランティア支援者)となり、年40日、計80回の講座を開いている。マンツーマンで外国人の語学習得に努めるほか、生活相談や支援も行い、公民館から支払われる謝金は国際交流事業に充てる。
京田辺市の人口7万人のうち外国人は約1000人(約1・5%)。とりわけ留学生の割合が高く、技能実習生も多い。国別では中国、韓国をはじめ、東南アジア、アフリカ諸国などバラエティに富む。
海外経験豊富な西川代表(78)は「需要が増え、教室が足らなくなってきた」と頭をかく。「目的やレベルはバラバラ。ガイド試験を受けたいという上級者もいる。結婚して家庭を持ち子供もできると、役所や学校の手続きなども増える。生徒と支援者のマッチングも大事」と打ち明ける。
そんな中、先月に京田辺市で初となる「災害多言語支援センター設置・運営訓練」が行われ、ふれあいネットの生徒と支援者も大挙参加。府国際センターの呼び掛けに応じた市などが主催した訓練は、災害時に外国人住民にどのように正確に情報提供を行い、支援していくのか―を、地域が一体となり想定する。
「やさしい日本語」有志の会が「情報トリアージについて」の題で行った講義では、「簡単な言葉にする」「1文を短く、分かち書き、文の構造は簡単に」「漢字の使用量に注意し、漢字にルビを」などの、日常に通じる「やさしい日本語」12のルールを紹介した。また、情報共有や翻訳、避難所巡回、外国人の状況把握、ニーズ確認などをシミュレーションして、万一に備えたほか、仮想の避難所では、翻訳機(ポケトーク)を使うなどの試みも行った。

■外国人支援を浸透さそう/日本語教室とつながる
毎年80~100人ペースで外国人居住者が増えているという京田辺市は「外国人支援が市民に浸透していくきっかけになればよい」と日本語教室とのつながりを強める。
西川代表は「災害時、市は前線の対応に追われる。先行自治体では国際化協会が教室を開くことが多く、一般的。災害時のセンターも、城陽では国際交流協会が軸になってやれている。京田辺では、外国人支援の主体がはっきりしない。整えないと」と指摘する。
「やさしい日本語は、共通語になりつつある。今の教室は子供が対象ではなく、市全体でも、すくい上げる網はない。新たな支援者の指導法を勉強しないと」と意気込む。