「宇治市における空き家等の対策に関する協定」の締結式が11日に市役所で開かれ、少子高齢化の中で課題が山積みの空き家問題解消に向けた取り組みの強化を誓った。「ようやく結べた」と喜ぶ業界幹部の声を受けた山本正市長は「空き家は増えて深刻な状況。空き家の活用をはじめ、宇治が持つ景観と均整の取れた適正管理とまちの発展のため、皆さんと連携して解決へ進めたい」と、今一度、協力を呼び掛けた。
宇治市では、2015年1月に「空き家等の適正管理に関する条例」を施行し、昨年3月に「空き家等対策計画」を策定して、家屋の所有者や事業者、地域、行政が相互に連携協力し、管理不全な空き家の解消、流通と利活用の推進へ乗り出している。
高齢化や核家族化などが進む今日、管理がおろそかになった空き家は、倒壊の危険や衛生、景観などの面からも地域に及ぼす悪影響が懸念されるところ。今回、市が協定締結に取り付けたのは、京都府宅地建物取引業協会と全日本不動産協会京都府本部の、2つの公益社団法人。府宅建協会は市内だけで133社の会員があり、協定締結は府内自治体の中で宇治は14番目。また、全日不動産協府本部にとっては府内7番目の協定締結となる。
式には、千振和雄・府宅建協会長、坊雅勝・全日不動産協府本部長ら役員が顔をそろえ、山本市長と千振会長、坊本部長が協定書にサインし、手交。山本市長は「市は、条例施行、計画策定と、所有者と事業者、行政が一体となった課題解決へ適正な支援、流通と利活用を基本方針に盛り込み、進めている。この協定で府宅建協会と全日不動産協府本部とより一層連携を深め、対策を推進したい。空き家増は避けられない。管理不全な空き家の発生を抑止し、将来を見据えた取り組み、新たな施策を打ちたい」と挨拶。続いて、千振会長は「ようやく協定を結べた。府内2番目の市でありながらようやくという気持ち。空き家、所有者不明の土地の増加はしばらく止まることはない。できることは限られるが、国も税制改正など腰を上げ始めた。3者が手を結びワンチームで取り組む時機だ。市内会員がきめ細かに取り組む」、坊本部長は「空き家は、23年には全国で1400万戸に達する予測がある。府内も同様。全日の広域的ネットワークを活用し、協力したい」と強調した。
対策計画に基づき事業者連携を一歩進めた山本市長は、中宇治で空き町家をリノベーションした商業施設、宅地開発から40年を経た西小倉地域の空き家増加、宇治ならではの景観とのバランスなどにも触れ、「プロの視点を取り入れながら、喫緊の課題に取り組みたい」と決意を述べた。