地元の賑わい願う献木/宇治源氏タウン銘店会
献木したモミジを見上げる宇治源氏タウン銘店会の役員、僧職ら

宇治川東岸に並ぶ商店主らからなる宇治源氏タウン銘店会(池本将孝会長)の役員らが25日、上流へ沿道を同じくする仏徳山「興聖寺」(雨宮義幸住職)=宇治市宇治山田=を訪れ、今月初めに琴坂沿いの高台に植栽されたモミジの献木式が執り行われた。吉川圓良堂長兼副住職ら僧職が温かく出迎えて感謝の気持ちを伝えた。同会は、2018年9月の台風被災から復旧工事を進める同寺に彩りを添え、地元の観光と商売に活気をもたらす願いを込めている。
宇治でも強烈な風がうなった2018年9月の台風21号で伽藍の背後にある山にそびえるシイノキの大木約40~50本がなぎ倒された興聖寺(こうしょうじ)。「川から山に吹き上げる風だった。仮に逆方向の風であれば、建物もすべて倒されただろう」と肝を冷やす中、約1年半が経過した現在は、倒木を取り除いた山肌がむき出しとなり、搬出土は宇治川に近い琴坂沿いに盛るなど景観を良くする植栽の土壌として活用している。
保安林の改植など復旧のみならず、茶筅(ちゃせん)塚の場所をずらした改修などを進めており、百年単位の大木を含むモミノキやキンモクセイ、モミジなど、秋を中心に季節をふんだんに物語る樹木の充実に努めている。
台風被災からの復旧、復興に役立てれば―と、宇治源氏タウン銘店会は昨春に申し出て、植栽に適した今月初頭のモミジ献木が叶った。この日は、池本会長(櫟・くぬぎ)をはじめ、徳田裕之さん(京阪宇治駅前駿河屋)、森口正人さん(福寿園宇治茶工房)、通円祐介さん(お茶の通圓)、松林俊幸さん(朝日焼)、木原多美子さん(ふりーすぺーす宇治日和)の6人が植栽現地を訪れ、同寺へ引き渡した。池本会長は「台風で琴坂も影響を受けた。観光客らが(上流の)興聖寺まで足を運ぶほど活況のしるし。今後、にぎわい、潤うことを願っている」と声を強めた。
宇治川沿いから最初の門をくぐり、琴坂を上がる際、左右の崖の上に植わっているモミジなどをさらに見栄えよくさせよう―と検討から実行へ。一歩ずつ進める同寺では、昨秋から拝観料と駐車代の志納を呼び掛け、保安林や景観の整備に役立てていくという。