純白のカラー、京阪神へ/城陽

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新型コロナウイルスの感染拡大など暗いニュースを払拭するかのように、城陽市の生産農家では今、新生活や入学式、春のブライダルシーズンへ向け、純白で清らかなイメージが強い切り花「カラー」の出荷が行われている。豊富な地下水を生かしたカラーの生産量は、市の花「花しょうぶ」とともに府内№1。結婚式のブーケなどフラワーアレンジメントには欠かせない純白の切り花は日々、京阪神方面へ送り出されている。
カラーは、別名「カイウ(海芋)」と呼ばれ、原産地は南アフリカ。サトイモ科特有の花びらを保護する「仏炎包(ぶつえんほう)」が、純白の花弁のように見え、清純なイメージの代表格として花き市場で根強い人気を誇る。
生産農家の一人、倉田浩平さん(38)=同市長池河原=は、アルプラザ城陽の西側にある約20㌃のハウス内でカラーを栽培。もともと倉田さん方では、祖父が湧水花き栽培を行っていたが、父はサラリーマン。浩平さんも以前は建築関係の仕事に従事していたが、10数年前に脱サラして花き農家の道を歩み出した。
カラーの生産期は、毎年11月ごろから4月中旬ごろまでと長いが、3月の彼岸から卒・入学シーズンが終わる4月頭までが最も需要が多く、農家はその時期に多く生産すると収益が上がる。
しかし、今シーズンは2月の天候不順の影響で不作となった上、出荷のピークも遅れ、4月に入り、ようやく生産量も増えてきたという。それに追い打ちをかけたのが新型コロナウイルスによる歓送迎会等の自粛。浩平さんは「例年ならピーク時に一日1000本以上、花を切っていますが、今年は多い日で900本。ここ最近は600本ぐらい。3月頭からコロナの影響で値段も安くなりました」と話す。
ただ年中、水温が16~18℃に保たれている城陽の地下水は、浩平さんにとって何ものにも代え難い恩恵であり、それを最大限に生かしながら、連日朝6時ごろからハウス内でカラーを収穫して、作業場で2L(85㌢)、L(70㌢)、M(60㌢)に選別。5本を1束として30本ずつ箱詰めする作業に追われている。
出荷は日、火、木曜日の週3回。それ以外の日に収穫したカラーは、冷蔵庫に入れ、品質保存を徹底させている。正月以外は休みなしの仕事だが、浩平さんは明るい表情で前向きに取り組んでおり、忙しい時は両親もサポート。カラーが終わると、花しょうぶ、花ハス栽培へと移るという。
なお、市内でのカラー栽培面積は1・1㌶、生産農家は8戸、年間出荷量は28万8000本に上る。

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