来年4月、井手町井手に、知的障害・肢体不自由のある子供らが学ぶ京都府の新たな特別支援学校が開校する。基本理念は「地域と共に歩む」。どんな学校になるのか、開設準備室の丸岡惠真室長と江口直美副室長に話を聞いた。
場所は、府立山城勤労者福祉会館の近く。JR玉水駅から徒歩約25分。
校名は案として、井手町の町花に由来する「井手やまぶき支援学校」が挙がっている。予定されている通学区域は京田辺市(一部例外あり)と宇治田原町・井手町、木津川市の一部の小学校区。現在は府立南山城支援学校(精華町)の通学区域で、井手の開校後移籍となる。丸岡室長によると、小・中学部と高等部合わせ200人規模で、スタート時は約140人が通う見込み。教職員は約150人という。
一番の特徴は、地域社会との連携だ。丸岡室長は昨年度まで南山城支援学校の校長を、江口副室長は同じく副校長を務めていた。同校では、学校の様子が分かる「学校だより」をとじたファイルを地域の郵便局や医院などに置いたり、高等部生徒らが企業関係者とパラスポーツのボッチャを楽しむ企画を実施するなど、積極的に地域社会との交流を図ってきた。
井手の支援学校では「教育内容を一緒に作るくらいの気持ちで取り組みたい」(丸岡室長)と、さらに意気込む。学校公開で見学できる機会を設ける他、授業をしてもらうことも考えているという。
中でもボッチャは現・南山城支援学校の得意分野で、高等部生徒が井手小で実演などをした実績もある。スポーツを通じた地域との交流も広げられそうだ。
「障害者は生活や勉強で苦労することが多い。一生懸命な姿を見ていただきたい。本当に頑張っている。自信を持つ、助けを求めることができるなど、自立にたどり着くまで学校でどれだけ力を付けられるか」。愛情と使命感が、丸岡室長の言葉の端々ににじみ出る。
準備室は昨年まで「準備委員会」だった。理念の検討や、井手町内での協力関係の掘り起こしに尽力してきた。江口副室長によると、町地域創生推進室や農業委員などを訪ねてきたという。副室長は「どこでも歓迎してくださった。小学校や住民サークルと一緒に取り組みができそうな手応えもあった」と振り返りつつ、「この学校があって良かったと言われるようにしたい」と語気を強めた。
開設準備室は今月1日に開設。開校へ向け、備品の用意や人員配置など、文字通り具体的な準備を進める。