今できる…クリアに!/宇治青年会議所 オンライン学習会
画面に向かって開会挨拶する藤原副理事長

一般社団法人宇治青年会議所(大山植泰理事長、22人)は、新型コロナウイルスの感染拡大を機にビデオ会議アプリ「ズーム」を活用した学習会を始め、各々が感染防止を念頭に置いた事業マネジメントを進めている。21日には地元で活躍する気鋭の社会保険労務士を講師に招いたズーム会議を開き、コロナで苦境に追い込まれる中小事業所を支えるための「雇用調整助成金」について理解を深めた。ウェブを通じた円滑な進行を通じ、新たな問題意識も見出した会員らがこれまでのパラダイム(枠組み、規範)を超えた限りない可能性と光明を感じ取った。
新型コロナウイルスの感染拡大という危機的状況を受けた宇治青年会議所の取り組み。外出自粛が推奨される中、遠隔でつながるビデオ会議を取り入れよう―と、にわかに、話題の的となっているオンライン会議システム「ズーム」を利用したミーティングを開催した。
早くも3回目となる21日のズーム会議では、ブリード労務法務事務所=宇治市木幡=代表で行政書士、社会保険労務士の酒井雄生さんが講師を務め、6月30日まで特例措置が執られている「雇用調整助成金」を解説した。
若手経営者ら会員は暮れ時、三々五々、新参アプリにログインし、はじめに藤原義久副理事長(㈲宇治消火器店=宇治市伊勢田町=代表取締役社長)が「青年会議所は、何が課題か見極め、それに向けて活動する団体。コロナが覆う今、できることは何だろう。自社の従業員の休業補償と会員拡大に焦点を当てたい。国の制度を理解して、わが社に取り入れる。異業種交流会で知り合った酒井さんに相談し、この機会にやろうと。すべての会議はズームになる。いろんなものがつながっていく」とモニターと向き合った開会挨拶で呼び掛けた。

酒井さんがパワポを操作しながら助成金の制度を解説した

そして、酒井さんがパワーポイントを駆使しながら経営者としてのポイントを手ほどき。解雇がない場合に最大9割の休業手当助成があるコロナ特例の肝を紹介し、「出勤簿やタイムカード、賃金台帳がきちんとしてあること」「計画届の提出や申請期限がある」などの注意点を強調した。
約1時間の学習会の終盤には、モニター越しの質疑応答も行われ、太田愛二さん(丸五醤油醸造㈲=宇治市槇島町=代表取締役)は「複雑。専門家のサポートが必要」と感想を述べ、「正社員とパートの区別は」「通常100日の助成上限日数は緊急対応でどう変わるのか」などを質問。酒井さんは、「雇用保険に加入していない非正規も対象になる」「6月30日までの特例措置期間については、100日に数えられない」と回答し、「(コロナ情勢如何で)緊急対応機間が延びる可能性もある」と指摘した。
太田さんは「4月に入り、途端に飲食店が閉まり始めた」と頭を抱え、酒井さんは「ハローワークも受付や問い合わせの対応が慌ただしく、混乱ぎみ。日ごろ、タイムカードを付けていないなど不備があれば審査が滞ることも。日常の整備が大切」と説いた。
藤原さんは、コロナ情勢について「物販はピタッと止まっている。工事は夏まで続くが、3カ月後が怖い」と自社の状況を伝え、従業員の休業補償では「就業規則も今後、必要になるだろう」と先を見据える。「これまで顔を合わせてこそ…と考えていたが、とんでもない、と思い始めている。新たな講師、テーマで続けたい」とズーム会議の可能性に声を弾ませた。