学校再開へ準備着々/宇治市の公立学校
手洗いに並ぶ列を想定した床のマーク(大久保小)

5月下旬になって、新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が京都府でも解除された。宇治市の公立学校では、6月からの再開に向けて登校日を設けるなど、着々と準備を進めている。児童生徒数が多い学校では、分散登校などで過密を避け、新型コロナ感染症予防に力を入れている。

ホームルームで1つおきに着席(莵道高)

莵道高校(中友明校長、832人)では、21~22日に登校日を設定。各学年で組および番号により人数を4分割し、両日の午前・午後の時間帯に割り当てることで分散登校を図った。
ホームルームでは、中校長が放送で「withコロナという言葉がよく聞かれるようになりました。今後しばらくは、コロナ対策を意識しながらの新しい行動様式が求められます。みんなで協力して、大きな試練を乗り越えていきましょう」と挨拶した。
健康状況や学習の取り組み状況の確認があった後、1年生たちは、担任の先生の案内で校内見学を行った。新入生については、入学式(4月9日)以来43日ぶりの登校のため、広い校舎で迷子になるハプニングもあったという。
中野早映さん(3年)は、休校期間を振り返り「最初は慣れなくて起床が遅くなったりしたが、少しずつ勉強の調子が出てきた」と語った。志望の大学を既に決めており「休みの間に差を付けられないように頑張ってきたつもり。今後は、勉強する時間が限られてくると思うので、こまめに単語帳を見るとか、すきま時間を活用したい」と力を込めた。

 

家庭科室で、互いの距離を開けて手洗い(大久保小)

宇治市立大久保小学校(島田尚明校長、851人)は、市内で最多の児童数・学級数を抱える。21~22日の登校日には、通学エリアを2つに分け、各日に児童の約半数が登校するようにした。
外遊びの後の手洗いなど、密になる状態を避けるために教職員らが何度も会議を重ねた。検討の結果、手洗いについては「学年ごとに決まった蛇口を使う」「特別教室も利用する」と決めた。互いの距離をとるため、並ぶ時の目印(マーク)を床に貼って示した。
さらに、低学年と高学年で2種類のチャイムを鳴らし、外遊びできる時間帯をずらすことにした。今回の登校日(午前のみ)では、低・高学年で時間をずらせて中間休みを取ることで、変則時間割のシミュレーションを行った。
島田校長らは「新型コロナが拡散して学校に行きたがらない子もいる。感染予防のため、子供たちが自ら気をつけてくれる部分もあるが、学校として安全を確保する狙いで、できることをしっかり取り組んでいきたい」と話した。

■1年生に向け 校歌ビデオ作成

大久保小校歌の動画(同小HPより)

大久保小では、4月に発令された緊急事態宣言の影響で、学校に行けなくなった1年生のため、教職員らが力を集め「おおくぼしょうがっこう・こうか」の動画を学校ホームページにアップした。
動画は約2分。校歌の歌詞とともに、校門や教室、体育館など校内で目に触れる施設の写真をバックに映した。ビデオの編集と歌の収録については、腕に覚えのある同校の元教諭(匿名)が担当した。
ビデオから流れる美しい歌声に、保護者からは「子供が家で歌っています」「学校に行った気分を味わっています」などの声が上がり、大好評だったという。
元教諭は「わくわくして入学した1年生たち。残念に思っていると思います。歌を聞いて、大久保小の一員になったほこりを持ってもらえれば」と話しているという。
葛山雅教頭は「ビデオの出来栄えが良かったので、授業で活用していこうと思う」「感染予防の対策が続いて不安もあるが、活動を新しく生み出すとともに、変えるべきところはその都度変えていかなければ…」と話した。