【中川宗孝(環境生物研究会・城陽環境パートナーシップ会議)】

コロナウィルス・緊急事態宣言の解除からひと月、50日間の孤独なサイレントフィールド探査のうっぷんを晴らすが如く、調査仲間たちと最高に楽しい超過密スケジュールの日々を送っています。
今年こそ、南山城村で確認している日本最大のスッポンの捕獲に挑むべく、過去2度の日本一の大物を引き揚げた親子二代の木津川の漁場に、今年もモンドリを仕掛けて来るべきチャレンジの時に備えています。週末限定のジュニア帯同の見回り点検でも、カメや魚の他、野鳥調査にアライグマ・ヌートリアなどのフィールドサインを記録して、自然環境に学ぶ習慣を身につけてくれることを願って共に楽しんでいます。
自粛生活のコロナ鬱に比べれば、雨降りも気にならず、むしろ子育て中のケリやシギ・チドリ類は親鳥の懐に抱かれていて発見しやすいとのプラス思考です。それでも、川が濁って増水に至ってはモンドリ漁も撤退です。後ろ髪を引かれながらの漁具撤収の6月9日、待望のコアジサシとの対面が叶って梅雨空の気分も一新です
さて、京田辺市に於いて、ゴミ処理施設建設予定地周辺でオオタカの営巣が確認されるも、影響は少ないと開発にゴーサインがでました。かつての幻の鳥・オオタカも、近年は増加傾向にあり、食物連鎖の頂点に位置する猛禽類は豊かな自然環境の象徴として大変喜ばしいことです。次代に引き継ぎたい自然財産たるオオタカを巡って、将来に禍根を残す開発とならないよう願うばかりです。
脇坂英弥君とのケリの標識調査もシーズン終了を迎え、オオタカにタマシギにコアジサシの、京都府の条例で希少野生生物に指定の鳥類御三家の集中調査がメインとなりました。2010年に再発見したダルマガエルの調査でも、京都府知事の許可申請の手続きがあって、希少種を巡る法的な拘束には、保護に貢献してきた自負を持つ筆者には正直不満が募ります。それでも、レッドデータブック制作に携わった当時の担当官Sさんは理解が深く、他の希少野生生物もリストに加えて調査いただければと、「カスミサンショウウオ」に「オグラヌマガイ」などの捕獲許可も得ていました。
昨年度、タマシギの捕獲許可証の報告書で、屈辱の「0羽」を記した脇坂君のリベンジとなる今年、早速、鳥垣咲子さんが発見された久御山町の水田に、平日にも関わらず飛んできました。果たして、タマシギの繁殖を裏付ける雛鳥3羽に標識できてホッとひと息、オオタカの巣立ちとコアジサシの営巣確認にも弾みがつきました。
こうした生き物トピックスに終わらないちょっぴり自慢の話題から、紹介したい人物ネタまで盛りだくさんの中から、ライン仲間数人からNG報告を受けた長~い奴と、木津川川漁師の代名詞たる丸い奴、とかく長い・大きいの表現はその人の感覚によるものとの代表たる、爬虫・両生類たちの話題をお届けします。2年ぶりの金タマ出た!の報告を添えて…。

◎爬虫・両生類編、フォトレポート

自粛生活の折も、一緒に行動こそできませんでしたが、京田辺市で野鳥観察を続ける福井惇一君(写真①中)と、週末毎にお父さんに和束町や南山城村に連れていってもらって生き物調査を続けてきた松井優樹君・春樹君兄弟とは、連絡を取り合ってその日の成果の情報交換をしてきました。前号でもお伝えした通り、福井君が普賢寺川で捕獲したシマヘビの黒化個体・カラスヘビは166㌢あり、2年前に優樹君が八幡市内里の用水路で発見して日本最大級と報じられたものを1㌢上回りました。(写真②)
対して優樹君は、182㌢のアオダイショウを捕獲しています。(写真③) そして最新の「日本爬虫両棲類学会報」で、全長198㌢と182㌢のアオダイショウが茨城県で発見され、これまで報告のある172㌢を上回る日本最大級であると記載されています。とかく大物伝説がささやかれる身近なヘビたちも、実寸がこの程度なら日本一更新も夢ではないと思えることでしょう。ヘビーに次いでベビー・孵化直後の仔蛇は、咬まれると「その日ばかり」が語源の実は無毒のヒバカリで、やはり福井君が見つけてくれました。(写真④)
福井君の観察フィールド・普賢寺川には、スッポンも生息していて、早速、市販のカゴ罠3つを進呈して水辺の生き物調査にもチャレンジです。先ずは準絶滅危惧種のモクズガニに、歓迎されない外来生物・ウシガエルが入りました。(写真⑤⑥)
木津川で捕れた傷だらけのスッポン(写真⑦)は、生息密度の高さを示す咬み跡です。岐阜大学で研究が進むスッポンの繁殖実験に、白羽の矢が立ったのが我が木津川産の天然物で、昨年の学会で発表された研究成果が今年の6月4日に中日新聞一面トップ記事で掲載されてテンションも上がりました。それでも、やはりコロナ騒動の影響で、今年の実験は中断されてスッポン漁の大義名分のひとつが崩れました。
そしてこの時期、楽しみにしているのが宇治田原町の黄金のオタマジャクシの誕生です。アルビノと呼ばれる色素異常の突然変異個体は飼育も難しく、これまで京都水族館や姫路市立水族館、湖北野鳥センターなどに引き取られてきたお宝生物が、NHKの取材が決まっていた昨年に限って発生せずに肩を落としていました。今年も見つけられずにいたところ、5月20日に今西久美子先生から発見!の第一報が入り、珍しいお宝せいぶつ・金いろのオ玉ジャクシ…略して珍〇金○との記念撮影です。…今西先生スミマセン。(写真⑧⑨)
コロナ鬱から一転のハイテンションナチュラリスト、雨で足止めされるもルンルンの活動報告・絶口調!?です。次回は学術的な内容を心掛けますのでこりずにご覧下さい。

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