【第314号】復活! フィールドハッピーライフ♪

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【中川宗孝(環境生物研究会・城陽環境パートナーシップ会議)】

コロナウィルス緊急事態宣言から解放され、やっと大手を振ってフィールドにも繰り出せるようになり、約2カ月ぶりとなる調査仲間たちとの同伴でテンションも最高潮の6月を過ごせました。ふるさとの希少野生生物の保護と生息環境保全の啓蒙活動をライフワークとするナチュラリストにとって、この4カ月間の自然観察会やイベント開催の中止決定とステイホームの自粛勧告で、生き甲斐を失くしたコロナ鬱症候群の日々を過ごしていただけに感慨もひとしおです。
それまでのコウノトリ・ハイの生活の延長で、千葉県鴨川市に飛び去ったひかりちゃんに会いに行き、「いすみ鉄道」や「小湊線」のローカル列車の旅を楽しみにしていました。また、昨年8月に京都水族館を退官された下村実・館長さんが、3月20日オープンに向けて尽力されていた四国水族館へも一族での旅行を企画し、やはり城陽市に飛来したコウノトリ姉妹のふるさと・鳴門市への視察も組み入れていました。
さらにはコウノトリの郷公園への報告や繁殖地の視察の他、ハシビロコウやハゲコウなど、コウノトリの仲間を求めてのミュージアム巡りも考えていました。鉄道マニアでもある筆者、カメの研究に携わるようになった1998年に全国亀駅巡りを思い立ち、北は秋田県・羽後亀田駅から南は大分県・亀川駅まで、当時のJR亀駅14駅を一年かけて踏破しました。ちなみに、2001年の巳年、今度は蛇駅巡り…も、わずか2駅だけで断念しています。
そんなこだわりが強いナチュラリストにとって、楽しみな計画がとん挫し、フィールドワークさえままならない事態は経済的不安を上回る精神的な負担となって最悪でした。そんな中、共に6月を命日とする両親の墓を新天地に移す儀式を無事終えることができ、ようやく肩の荷も下りました。
ひと月を5日ごとの6節に分け、木津川フィールドの野鳥調査・ルートセンサスを続けてきた筆者、2010年と2012年に亡くなった母と父が眠る木津川河川敷の先祖の墓に、ペンペン草を生やすことなく墓参してきた10年間。元祖ナチュラリストの親父には、自分でなければできない活動を続けている自負を、信仰心厚かった母親には、大恩ある人たちへの感謝の気持ちを忘れずにいる…との報告をしてきました。
子どもたちの登下校の姿に安堵し、久しくの友人・知人との再会に歓喜し、夜が明けて新たな一日が始まる実感を得た6月の下半期、フィールド・フル稼働の最高に楽しい日々を過ごしています。7月からの観察会やイベント復活が待ち遠しいナチュラリストのハッピーライフ、希少野生生物生息調査状況をご覧下さい。

◎フォトレポート

とにもかくにも感慨深い6月、脳天気なナチュラリストをもコロナ鬱にした季節が明け、爬虫類派のシーズン到来です。未だ水が引かない木津川を横目に、和束川でスナヤツメ狙いのイシガメ調査サポーターで貢献したいものです。(写真①②)
和束町の盟友・小西逸男さん(写真③中)は、珍蛇・シロマダラ(写真④)発見の立役者です。これまでは、挨拶にも立ち寄れずもどかしい思いをしていましたが、やっと資料を持ってにぎやかしに訪れました。キジの雛鳥も手に取って観察中、そこに近所に住む北政代さん(写真⑤)から無傷のシロマダラの屍発見!の朗報。貴重な標本が手に入りました。
6月20日のこの日は、日野田星君(写真⑥右から)に福井惇一君、岡井昭憲先生と共に京都府の希少野生生物・鳥類御三家のひとつ、コアジサシ(写真⑦山中十郎氏撮影)の繁殖調査です。木津川の河原や中洲の営巣適地が増水で沈没し、今年の繁殖は残念な結果に終わりました。それでも、御三家のひとつで巣立ちが近いと思われる巣内のオオタカやアカショウビンの生息確認など、ジュニア鳥類研究者の熱意が実った一日でした。
27日は鳥類学者の脇坂英弥先生に弟子入り調査です。(写真⑧) ケリの雛鳥へ環境省の標識足環を装着し、移動やつがい構成などの生態を探る手段として保護に欠かせない調査であることを学び、中学生の彼らを共同調査員に大抜擢です。ケリの調査と共に、もう一種類の御三家・タマシギ(写真⑨山中十郎氏撮影)の生息調査では、この日は城陽市の青谷地区でかろうじて2羽が確認されただけでしたが、福井君たちのフィールドの京田辺市の草内でもペアを確認してくれています。
そしてたのもしき調査メンバーの鳥垣咲子さん(写真⑩左)は、早くも孵化雛を連れたタマシギを久御山町で発見され、6月の16日の平日に脇坂君が駆け付けてくれ、無事標識に成功しています。29日の月曜日にも、八幡市での目撃情報を受けて脇坂君と調査しましたが、この時は確認することができず、絶滅の危機にある希少鳥類であることをあらためて実感しています。京都府で初めてタマシギの繁殖が確認されたのは、城陽市立富野小学校の東の田んぼでした。それから四半世紀の時を経て、先日に泣き声を確認しており、繁殖定着して明るい話題を提供してくれることを願っています。
28日には、たまりに溜まった話と資料を持って、久しぶりに山中十郎さん(写真⑪右)を訪ね、今後の雑多な企画相談です。札幌から発掘調査で京都に来ている大学時代の親友・田部淳君(同中)とも、ようやく会えることができて喜んでいます。旨いビールでの乾杯はまたの楽しみに、この日も夜の水田地帯に繰り出してタマシギの鳴き声調査に奔走するナチュラリスト、日常のありがたさに感謝の合掌です。

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