宇治市大久保町の建設業・㈲南城園の蔵から、昭和初期に新築された大久保尋常高等小学校(現大久保小学校)の建築材が見つかった。
大久保小学校は明治14(1881)年、旦椋神社境内に「栗隈校」として誕生したのが始まり。その後に移転し、明治38(1905)年から昭和36(1961)年までは、現在の広野西裏100番地に建っていた。
大正から昭和にかけ校舎の全面改築が図られ、昭和4(1929)年に木造2階建て14教室の堂々とした新校舎が竣工。ところが、5年後の昭和9(1934)年9月に発生した室戸台風の影響で、校舎は倒壊し全焼してしまう。
今回見つかった建築材は、棟上式で用いられたと思われる「御幣(ごへい)」で、工事が無事完了するよう祈願するもの。木に記載がある「建設委員・城島久太郎」氏は、発見した㈲南城園の代表取締役・城島健治さん(73)の祖父に当たる。
大久保小の卒業生でもある城島さんは8日、同校を訪れ、90年前の貴重な建築材を寄贈した。受け取った島田尚明校長らは「筆文字がほとんど色あせず、きれいなまま。保存状態が良かったのだろう」「室戸台風の火災で燃えずに残った物だとしたらすごい」など、当時を想像しつつ歓談を弾ませた。
来年に創立140周年を迎える同校では、御幣を大切に保管しておくという。