【中川宗孝(環境生物研究会・城陽環境パートナーシップ会議)】
コロナに翻弄された今年の夏も終わり、川の水も冷ややかに感じられる昨今です。
ナチュラリストにとって、例年の夏休みの定番イベントがことごとく中止となり、予定していた計画が果たせない現状にはほとほと参りました。緊急事態宣言の解除で、ようやくナチュラリスト仲間とも楽しいフィールド活動が復活しましたが、本分とする啓蒙活動や成果の発表の檜舞台がなくなったことで、士気も上がらぬじまいのまま夏本番を迎えていました。
列車の旅や博物館などミュージアム巡りの自粛はさほどではありませんが、夏休み恒例の水辺の生き物と昆虫採集の自然観察会の中止には落ち込みました。感性豊かな少年期に、身近にもこんなにたくさんの生き物がいることを知り、大切にしなければいなくなってしまう希少なものと歓迎されないものがいることを学んで、自然や環境を考えるエコキッズ養成のお手伝いに携わっているとの自負がナチュラリストの誇りでもあります。
今年も8月1日に京都府山城総合運動公園・太陽が丘で「夏休み、親子の昆虫教室」が予定されていましたが、5月の水棲昆虫の観察会と共に早々に中止決定の通達がありました。夜間に大掛かりなライトトラップを使用して飛来する昆虫たちを観察し、クワガタ・カブトムシを求めて雑木林での昆虫採集は、毎年大賑わいの一大イベントであり、その1週間ほど前から参加者へのお土産のクワガタ・カブトムシを採集して全員に進呈しています。そうしたこともあって、昨年は申し込み初日の午前中で既に100名を超す申し込みがあり、嬉しい悲鳴に結局のところ室内講義や軽食をカットし、200名までの受け入れ態勢を承諾しました。果たして、総勢250名もの大観察会を西森誉普さんたち講師陣7人で取り仕切り、参加家族にもカブトムシと4種類のクワガタなどを分配して無事大役を果たしています。
そして今年も、開催を心待ちにしてくれている人たちからの問い合わせが相次ぎ、やはり中止になった「城陽環境パートナーシップ会議」主催の「今池川・水辺の生き物採集会」でも、久しくの野村隆俊先生からエールをいただきました。こうしたコロナ禍の呪縛の中で、和束町教育委員会町史編さん室主催の自然観察会と、やましろきっずサイエンス主催の「サイエンス夏祭り2020」が開催され、ナチュラリストにとって実に5ヶ月ぶりとなる活動の場を与えられて大いに勇気付けられました。
和束町の観察会では、講師の林博之先生から新種登録されたナガレカマツカが生息する可能性があると聞き、サイエンス夏祭りで披露する生きた教材もお宝生物を2種類ゲットと、がぜん厄払いの追い風が吹いてきました。新種発見!に沸く夏の思い出に添える写真で綴る活動日記をご覧下さい。
◎親子三代生き物日記
7月24・25日、今年も「サイエンス夏祭り」が「アスピアやましろ」に於いて開催されました。城陽環境パートナーシップ会議の盟友・小林駿先生(写真①中央)は、時節柄「コロナウィルスと地球の自然環境」の表題で講演されました。筆者は相変わらずの「ふるさとの生き物たち」の不変のテーマを掲げてのトークと実演パフォーマンスです。
今年は定員も子供10名!の寂しい会議室の講座に、広いステージ発表も定員が40名ほどと寂しいかぎりですが、ジュニアメンバーの松井優樹君共々二日間にわたって生き物ライブを楽しみました。(写真②③) もう3年も前のサイエンス夏祭りに、当時、小学校2年生の生き物好きな弟子入り志願の少年が中尾先生の紹介で訪ねてきました。その時の優樹君との出会いからのエピソードも、幸運の星の下、天賦の才に恵まれたエコキッズは、度々マスコミに取り上げられる活躍で広く知られるようになりました。
そしてこの日、元祖・子供鳥博士の岡井勇樹君夫妻(写真④中)が11カ月になる彩夏ちゃんを連れてジュニア優樹君の激励に来てくれました。脇坂英弥君(同左)と共に筆者の鳥類ブレーンの双璧で、お父さんの岡井昭憲先生に連れられて自然観察会に参加したのをきっかけに、やはり小学校の低学年から野鳥調査への功績が評価され、日本鳥類保護連盟から「子ども鳥博士」に認定され、5年生の時には理科の先生たちの研修会でバードウォッチングの講師を務め注目されました。
当時の岡井勇樹君と重なるジュニア優樹の5年生の夏、京都府に於ける新種の淡水魚・ナガレカマツカ発見!の栄誉を分かち合いました。小学校5年生の夏休みの登校日、担任の宮本健示先生から『日焼けを通り越して焦げてるやないか!』とからかわれ、「夏の申し子」たる言葉を拝してから半世紀余り、天から見守ってくれている恩師の遺影に掌を合わせ、自慢の愛弟子がとらえた水中写真(写真⑤)を掲げての感謝の報告です。
例年、大好評の太陽が丘・昆虫採集観察会(写真⑥)も、今年はコロナの影響で開催されず、お土産のクワガタ・カブトムシ採集の大義名分もなく見送っていました。それでも、本来が虫少年の優樹・春樹君兄弟と、昨年の観察会に参加できず、今年こそはと生き物好きの孫との参加を楽しみにしていた島本憲司さんと英年さん(写真⑦左1、2)に声をかけ、西森名人の出番がやってきました。良場のクヌギ林が伐採の憂き目も、主役の英次郎君(同左3)も自身でカブトムシを捕獲するなど、優樹・春樹君の弟弟子の虫採りデビューは上々でした。(写真⑧)
生き物大好き少年の話題は続きます。今年もツバメの巣を襲ったヘビや家の中で見つかったヘビを引き取りに行くなど、小さなトピックスは尽きません。8月29日にマムシが出た!と連絡を受けた城陽市青谷の北島均さん(写真⑨左)には、これまでにも珍蛇・ジムグリなど生き物情報でお世話になっているナチュラリストの協力者です。この日、孫の竹原誠芽君が迎えてくれ、持参のアオダイショウを手渡し、引き取ったマムシと共に記念撮影です。おじいちゃんそっくりな誠芽君に「城陽生き物ハンドブック」を進呈し、一緒に観察会に来てくれて再会できるのを楽しみにしています。
また、お家の方がヘビに咬まれて病院で治療されたと聞いて駆け付けた中澤晴治さん(写真⑩右)宅に、8月28日のこの日は実際の生きたアオダイショウを持参して確認してもらいました。お母さんの憎きカタキも、生き物好きな悟有君には魅力的な可愛い奴で、共に記念撮影です。エコキッズの必携アイテム「城陽生き物ハンドブック(DVD版)」、今年改訂版の予定が中止となり、早期完成が待たれます。