京田辺市にある農福連携センター「さんさん山城」(新免修施設長、藤永実センター長)=興戸小モ詰=で5日、ウェブ会議サービス「Zoom」を使ったオンライン講演会が開かれ、オン・オフでつながった参加者約20人が、障害のある人との接し方について理解を深めた。「妥当な調整」とも訳せる「Reasonable Accommodation」=「合理的配慮」の意味を掘り下げた。
聴覚や身体、知的障害がある利用者らが活動する就労支援施設「さんさん山城」は、少子高齢化が進む時代にあって、担い手が不足する農業と障害者雇用の充実を目指す福祉の両分野を結ぶ先駆けとなっている。
生産物や加工品の質と信頼度をさらに高める「ノウフクJAS」「ディスカバー農山漁村の宝」「JGAP」の認証、選定が続き、国内外の官庁やマスコミの注目度はうなぎ上りだ。
様々な業種が連携する「京田辺農福観地域づくり協議会」(岡本和雄会長)主催の講演会「ルールを作らず、例外を増やそう」は、コロナ感染防止のため協議会員に限ったオンライン形式で行い、講師の中根成寿・京都府立大学公共政策学部准教授が画面を通じ論旨を展開した。
中根さんは、「合理的配慮は個別的で事後的、対話的」と言い表し、「本質は何かを見極めること。そこにたどり着く、提供するための方法と手段を複線化しよう」とひも解き、「みんな平等が正解ではない」「例外を作ることを恐れない」などと強調した。
参加者からは「障害がある人のみならず、妊婦など困っている人も同様では」などと質問があり、中根さんは「困っているとの公的証明は要らない。主観的表明に配慮があればよいが、社会に余裕がないとなかなか難しい」と答えた。さらに、中根さんは「ヘッドホンをしているのは、騒がしいのが苦手なのでは。サングラスをするのは標準的な明るさがまぶしいと感じるのでは。など、と想像を働かせてみて」と広く見る俯瞰の心構えを説いた。
自身も通訳者として会場に出向くことが多い新免施設長は「聾者に前方の席を確保する慣例があるが、それをなくして、前方に座りたければ早く会場入りすればよい、というように潮流は変わり始めた。個別対応にはコミュニケーションが必要」と声を強めた。