福永修さん夢の一歩/宇治田原で「やましろのくにラリー」
町旗を振る西谷町長(右)とプロドライバー福永さんがコースに出発する選手と愛車を鼓舞した

宇治田原町の新庁舎=立川坂口=を発着する「やましろのくにラリー」が15日に開かれ、様々な意匠を施したラリーカー37台が林道を疾駆した。国内外で活躍するドライバー福永修さん(49)=京田辺市=が代表を務めるチームオサムファクトリーが主催し、地元にラリーを根付かせる夢の第一歩を踏み出した。
やましろのくにラリーin宇治田原は、JAF公認のJMRC近畿SSラリーシリーズ最終戦(第4戦)。14日にレッキ(試走)を行い、翌15日は大峰山(猿丸林道、6・16㌔)・鷲峰山(鷲峰林道、5・90㌔)のタイムアタックに挑んだ。林道に至るまでの国道・町道は、リエゾン(タイムと関係のない)区間として、一般車と同様に走行した。
コロナ感染拡大防止のためセレモニーはなく、スタートに合わせて福永さんとゲートに並んだ西谷信夫町長が威勢よく町章が入った旗を振って各クルーの健闘を祈った。地元内外のオフィシャル、スタッフら約90人が、大会本部が置かれた庁舎のほか、ルートの要所、林道周辺に配置され、交通の安全を確保した。

宇治田原町役場を駆け出していくラリーカー

開催に向け、田原でもより鬱蒼とした樹々に包まれる大峰山、鷲峰山の林道を整備し、倒木を除去。全日本ラリー選手権など国内外で予定されていたレースの中止が相次ぐ中、東京や神奈川、埼玉、愛知、徳島など各地からドライバーと同乗者のクルーがエントリー。福永さんらは「地元の人たちにも感動と興奮を体感してほしい」との思いは強かったが、コロナ禍で事前告知は最小限にとどめ、感染防止と安全無事故に努力を惜しまなかった。
町中を行くラリーカーを目にした町民らは思いがけぬゲストの登場に手を振って応えるなど力走を後押しした。
城陽市青谷地域で生まれ育った福永さんは2014年から城陽商工会議所青年部主催のイベント「スーパージャンプエクストリーム」を屋台骨となって支え、京田辺市三山木に構えるオサムファクトリーでは、障害を持つ人もミッション車を運転できるようにする手動運転装置「アクティブクラッチ」を開発、普及。You Tubeオサムちゃんねるで、「交通安全シリーズ」を放映し、カーレースのファンやネットユーザーの枠を超えた関心を集める。

ミニ版を走らせる子供たちの姿も

活動に制限が掛かる今、できること…を真摯に見つめ、街角で発生する交通事故を複合的に分析し、「自らの身を守る」意識向上に努める。「ヨーロッパでは普通にある公道レースを国内でも実現させたい」と、機運上昇に熱が入る。
「ラリーを成功できたのは、宇治田原町と町の皆さんの理解と協力があってこそ。ありがたいです」と自身初の主催大会を終えて感謝の気持ちがあふれる福永さんは、本来であれば愛知県で今週予定されていた世界ラリー選手権の来年延期を惜しみながらも、世界のクルーと競うその日を楽しみにしている。
そして、国内でのラリー開催を来年以後も続けていきたいという。