古老柿(ころがき)と呼ばれる宇治田原町の特産干し柿づくりが最盛期を迎えており、今年も上々の出来栄えとなっている。
言い伝えによると、渋柿をどうしても甘くできない村人に古老柿の作り方を教えたのは、少女に姿を変えた禅定寺の十一面観音。
現在の方法は、まず「鶴の子」と言われる渋柿のヘタを取り、針に刺した実を機械で回転させてT字カッターで皮をむくことから始まる。
そして、丸太とロープで組み立てた柿屋の棚で2週間ほど乾燥熟成。さらに1~2週間、ワラの上に並べて、箕(み)と呼ばれる竹ザルや柿もみ機で躍らせるように振り、表面に白い粉がふくと、上品な甘さが口の中に広がる古老柿の出来上がりとなる。
同町が発祥の地である日本緑茶との相性は抜群で、その味わいが深みを増すほか、お酒を飲む前に食べると二日酔いを抑える効果もあるという。
ここ南岡之薮で6段(高さ約10㍍・長さ約12㍍・幅約2・5㍍)の柿屋を建てているのは、JA京都やましろ同町古老柿生産部(15会員)の会長を務める森口雅至さん(37)。
今年は長梅雨、夏の猛暑で柿が熟すのが早く、収穫量は例年より20%ほど少ないというが、それでも約6・5㌧。8万個余りの古老柿を仕上げる。
今は棚一面が、夕陽のような柿色に染まっており、ワラの上に移すと徐々に白くなっていく。
「生産期に入ってからは雨も少なく、上手に乾燥できています」と、味には太鼓判。「事始め」の13日に合わせ、11日から京都中央市場に向けての出荷が始まる。