2期8年間、宇治市政を牽引してきた山本正市長(73)が18日、任期満了に伴って退任した。市役所での退任式で、山本市長は「市民、市議会、約1400人の全職員の英知と協力があって8年間、無事に仕事ができた」と感謝。市職員、市議、支援者ら約500人から大きな拍手が送られた。
山本市長は2012年12月、「市民の力(参画・協働)の結集で、新しい宇治市を!」を掲げて、第17代市長に就任した。同年8月に発生した府南部地域豪雨災害からの復旧・復興などを重点施策に掲げて船出。宇治川増水による堤防決壊の危機、大阪北部地震、新型コロナウイルスなど危機管理対応に追われた。
一般施策では、こども医療費を中学校卒業まで無料化、地域子育て支援拠点の全10中学校区への整備、学校支援チームの設置、公立幼稚園3年保育の試行実施、「認知症のひとにやさしいまち・うじ」や健康長寿日本一の取り組み、産業支援拠点『宇治NEXT』開設などソフト事業を中心に手掛けてきた。
都市基盤整備ではJR奈良線複線化に関連した新田駅東口の開設、雨水貯留施設の整備などを展開。「(仮称)お茶と宇治のまち歴史公園」の整備も進めた。
特に『命を守る、人を大切にする』として耐震強度不足の宇治公民館等の廃止、ふれあいセンター2カ所の廃止などを断行。大久保幼稚園の廃園など決して楽ではない決断も下し、財政健全化推進プランでは市民負担もお願いしてきた。
市議12年・府議14年の実績から「現地・現場主義」を徹底。地域の各種行事に時間の許す限り参加してきた。
退任式では真田敦史市議会議長が「8年間の功績、労苦、尽力に対し、深く感謝申し上げる。山本市長の下で培われた議会と執行部の良い意味での緊張関係、市長とのオープンな議論の伝統を引き継いでいく」と送別の言葉。職員代表の木村幸人副市長は「時に厳しく、しかし優しさをもって指導を頂き、心から感謝を申し上げる。新市長のリーダーシップの下、現在・将来の宇治のため、一致団結して頑張る」とお礼の言葉を送った。
山本市長は「市民に寄り添い、市民とともに歩んできた。マニフェストは大半の項目が実現できた。財政健全化プランは苦渋の選択だった。しかし、コロナ禍で財政に苦しむ市町村が多い中、皆さんの協力で取り組めたことは宇治市の財産であり、新市長に引き継ぐことができて、ほっととしている。市民、市議会、全職員の英知と協力で8年間、無事に仕事ができた。本当にありがとうございました」と挨拶。18団体から次々と花束が贈られ、大きな拍手の中、市役所を後にした。