【第335号】新年度の年中行事再開に向けて

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【中川宗孝(環境生物研究会・城陽環境パートナーシップ会議)】

心弾む春の到来も、新型コロナウィルス対策に留意し、趣味とする列車の旅と博物館などのミュージアム巡りも自重し、繁殖期を迎えたケリの継続調査に水辺の生き物と両生・爬虫類たちを求めてのフィールドワークの始まりです。
昨年のコロナ禍と、一昨年は不覚のケガで参加が叶わなかった「日本爬虫両棲類学会」と「日本鳥学会」の大会に於いて、今年こそ研究成果の発表ができることを第一の目標に掲げています。同じく年間行事と位置付ける年末の「京都環境フェスティバル」も無事開催され、「城陽環境パートナーシップ会議」で取り組んできた活動成果の公表で締めくくれることを願っている昨今です。
新年度に向け、こうした年間行事がナチュラリストのライフサイクルとなってフィールド探査にも拍車がかかります。コロナ禍の昨年度、母校・富野小学校の生き物クラブの指導に、和束町の自然観察会や木津川市のサイエンスキッズ・夏祭りなど、貴重な活動の場をいただいたことでナチュラリストの本懐とする啓蒙活動もかろうじて継続できました。新年度こそ、フル稼働の一年でありたいものです。
さて、門出を祝う桜の季節を迎え、ナチュラリストの下にも新年度のイベント要請の嬉しい便りも相次いで届いています。昨年はカレンダーの赤丸チェックも数えるほどで、開催中止の×の上書きは寂しい限りでしたが、今年はコロナワクチンやオリンピック開催に向けての朗報を受け、また平年通りの多忙な日々が戻ってくることを信じての年間活動計画にも力が入ります。
今年一番の朗報、コウノトリ・ひかりちゃんの再飛来には元気をもらいました。瑞祥の福鳥からのご利益は、多くの人たちが絶滅から復活した優美な希少鳥類に関心を抱くようになり、野鳥保護の最前線の情報や生息環境を考える機会ともなるナチュラリストの提言にも耳を傾けていただき、共に繁殖への夢を共有できる人々の環の拡がったことが何よりもの成果でした。
こうした志を同じくするコウノトリ仲間を「城陽環境パートナーシップ会議」に招いて、新年度の活動が始まります。コロナ復活第一弾のイベントは、愛鳥週間恒例のバードウォッチングを5月16日に木津川河川敷に於いて開催することを決めました。野鳥と共に昆虫や植物など身近な生き物全般の総合的な自然観察会で、実りあるものにしたいと考えています。たくさんの参加をお待ちしています。
さて、今年2月の「古川自然観察会」はコロナ禍で中止の憂き目となりましたが、これまで20余年間途絶えることなく調査を兼ねて公開されてきた観察会でもあり、有志による調査探鳥会を行いました。当初、古川観察会用に作成した城陽環境PS会議のオリジナル絵はがきも、愛鳥週間の自然観察会で配布予定をしています。
待ち遠しい愛鳥週間のイベント開催を祈願し、これら絵はがきとなった野鳥たちのエピソードを添えてのフォトレポートをお届けします。野鳥情報には事欠かないナチュラリスト軍団自慢の秀作・バードギャラリーをお楽しみ下さい。

◎フォトレポート

城陽環境PS会議・自然部会の井手邦彦部長(写真①左2)に上野さや子副部長(同中)、竹内康先生(同左)に岡井昭憲先生(右2)と筆者の運営委員の揃い踏みです。この日は2月恒例の「古川自然観察会」がコロナ禍で中止となり、チョウゲンボウの繁殖調査を兼ねての定期調査に、脇坂英也君(写真②左)と岡井勇樹君(同右2)の本来はメイン講師を務める2人を中心に、おなじみのジュニアメンバーにコウノトリ調査メンバーたち総勢24人もの参加がありました。(写真③)
コウノトリは「城陽市鳥類目録」に209番目として追加されましたが、2月11日のこの日、210番目となる珍鳥・オオハシシギ(写真④岡井勇樹氏撮影)を古川調査隊のみんなで観察することができました。そんな幸運も、前日に西尾長太郎さん宅に届けられた森口誠さん撮影の写真から全国的にも稀な旅鳥のオオハシシギであることを確認した背景がありました。そしてもうひとつの珍鳥情報が、ジュニアメンバーが発見した京都府初記録となるシラコバト(写真⑤山中十郎氏撮影)で、追認調査を行ってきた脇坂英也君が山階鳥類研究所への問い合わせや鑑定を経てあらためての公式発表を予定しています。
埼玉県の県の鳥で天然記念物でもあるシラコバトは、江戸時代に人為的に移入されたものですが、野生種の自然渡来は和歌山県の他、島根・大分・鹿児島の4県の記録があるだけの大発見です。オオハシシギの記録と共に、脇坂君の詳細報告をお待ちください。
そして京都府の鳥・オオミズナギドリの絵ハガキ(写真⑥)は、富野小学校の生き物クラブの卒業生たちに進呈するために蔵出ししてきました。もう30年余りも前に京都新聞社から出版された「京都の野鳥図鑑」の表紙を飾った写真で、オオミズナギドリのはく製を教材に、翼の飛ぶ仕組みや形態を学んだゆかりの鳥を選んでいます。同じく筆者自慢の作品で、南山城村関連のイベントで受賞して切手にもなったシュレーゲルアオガエル(写真⑦)も、今年度の調査対象になるのを記念しての試作品です。
地元のイベント配布の絵ハガキ候補では、城陽市の花と鳥を撮り込んだ田部富男さんの作品(写真⑧)に、依然人気が高い山中十郎さんの作品集からのカワセミ(写真⑨)にミサゴ(写真⑩)・チョウゲンボウ・ケリにオオタカ・フクロウ・ミゾゴイといったいずれも外せない郷土のお宝鳥がメジロ押しです。城陽環境PS会議名を拝してこその価値ある啓蒙活動の環境資料たる絵ハガキを、たくさんの理解ある支援者の方々にもらってもらいたいものです。
今回、次号に紙面を譲った大大ホットニュース!をお楽しみに。

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