在宅高齢者に介護サービスを提供する事業所で組織する城陽市介護事業所連絡協議会(石田實会長、15法人)=略称・介護連=が、全国でも例がない社会福祉法人やNPOなど運営形態に関係なく市内通所介護に従事する職員や保育士ら1000人を対象に行う新型コロナウイルスワクチンの「職域接種」が5日から始まった。初日は120人がモデルナ製ワクチンの1回目接種を受け、入居施設職員に比べて国の対応が遅れている通所介護スタッフに安心感を与えた。
コロナに感染すると、重症化する可能性が高い高齢者を日々、お世話している介護スタッフのうち、特養など入所系の職員に対する優先接種はほぼ完了したが、在宅介護など居宅サービスを提供している居宅系のホームヘルパーらの対応が遅れていることが全国的に問題となっている。
そこで、城陽市「介護連」は先月8日、「一日も早くワクチン接種ができるよう格段の配慮を」と市に要望。市側もすぐ厚労省に問い合わせを行い、2日後の10日に「市介護連が実施主体となり、職域接種を行うことが唯一の方法」という回答を得た。
介護連は、その日に厚労省に職域接種(1000人単位)を申請。翌11日に受理した厚労省は、市介護連に対し、19日午前中にワクチンや接種に必要な注射器などの機材を搬入した。
その後、ワクチンを冷蔵庫で適切保管し、今月3日に接種に向けたリハーサルを行い、5日の接種初日を迎えた。
会場となった「ひだまり久世」には、予診担当の医師1人、看護師6人、受付・会場整理を行うスタッフ27人の計34人体制で、接種者を迎え入れた。
接種を受けたのは介護事業所の職員とその家族69人、市内保育所の職員とその家族51人の計120人。午後1時から4時まで、密を避けるため1時間ごとに「40人」と来場者を制限。それぞれ順番に医師による予診、看護師2人体制によるワクチン接種、副反応に対処するため、しばらく会場に待機するよう求めた。
初日にワクチン接種を受けた人のうち、市内公立保育園に勤務する保育士(54)は「子供や親御さんと毎日、接する仕事をしているので早く接種できてよかった。主人もあす接種してもらえるので安心です」と話していた。
今後は、11日(日)までの延べ6日間に、市内介護事業所の職員とその家族479人、市内保育所の職員とその家族521人の計1000人が1回目の接種を受ける。介護事業所にキャンセル待ちの人も置き「一人分のワクチンも無駄にしない」対応を図る。
2回目の接種は、4週間後の「同じ曜日、同じ時間」を基本に再び、ひだまり久世で実施。市介護連によると「厚労省から『ワクチンの供給に問題ない』との返答を聞いている」という。
石田会長は「昨年暮れの介護連設立以来、各事業所が助け合い、連携し合うことを理念に対応してきた。ワクチン接種が実現できたことを大変うれしく思い、保育所の職員も公立、民間を問わず職員の早期接種を合わせてできたこともよかった」と話した。