東京2020パラリンピック(24日~9月5日)を前に、パワーリフティング競技「ナショナルトレセン」がある城陽市で13日、採火式が開かれ、市民5人が古代「まいぎり式」で種火を起こし、その火を奥田敏晴市長が点火棒でランタンに灯した。この聖火は、15日まで文化パルク城陽エントランスに展示された後、翌16日に京都府庁に持っていき、府内16市町の火を結集して東上。東京パラ会場の聖火の一部となる。
障害者スポーツの祭典・東京パラに向けて、城陽市中芦原のサン・アビリティーズ城陽では、パワーリフティングの日本代表選手4人が大舞台に向けて強化練習に励んでいる。コロナ禍でなかなか市民との交流は難しいものの、競技を通じて障害の有無にかかわらず、一人ひとりの価値を認め合う共生社会の実現をアピールしている。
このような趣旨に基づき、城陽市は府南部の先陣を切って市民参加の「パラリンピック採火式」を開催。会場の文パルふれあいホールには、コロナ感染予防を徹底して約70人の市民が参集した。
ステージには、奥田敏晴市長、北澤義之教育長のほか、来賓として谷直樹市議会議長、NPO法人日本パラ・パワーリフティング連盟の吉田進理事長らが顔を揃えた。
奥田市長は「最終的に東京パラリンピックの聖火の一部となる城陽の火を採火できることをうれしく思う」と、コロナ禍の中、式典を無事挙行できたことに感激の表情を浮かべた。
そして、パラ・パワーリフティングに取り組む中川翔太さん(18)=寺田=をはじめ、安田英四郎さん(68)=富野=、奥望花さん(6)=観音堂=、今尾典子さん(64)=寺田=、田村真由美さん(62)=寺田=の5人が登壇。横板を上下させることで火切り棒が回転し、木と木の摩擦で種火がおこる「まいぎり式」で、城陽の火をおこした。
この日は雨模様で湿度が高く、火をおこすのに四苦八苦したが、市歴民「友の会」のメンバーもサポートし、煙がしだいに種火となり、奥田市長が点火棒でその火をランタンに灯した。
そのあと、火おこしに尽力した市民と奥田市長らがステージ上でフォトセッション。参加者の一人、中川さんは「リハーサルでは、うまく火おこしができたのですが、本番ではならなか点かず最後は気持ちで火をおこしました」と話し、東京パラに対しては「無事に大会が終わってほしいというのが正直な気持ちです。やはり自分の階級(パワリフ男子49㌔級)に注目したい。3年後には、ぜひ自分もパラに出場したい思いが強く、そのためにはベンチプレス70㌔を上げたい」と意気込んだ。
採火式に続き、ふれあいホールでは、市民大学特設講座として日本パラ・パワーリフティング連盟の吉田進理事長の講演が行われ、様々な障害を乗り越えてスポーツに取り組むパラ選手たちの努力や東京パラ・パワリフ競技の見所や注目選手などについて熱っぽく話した。