緊急事態対応、タブレットの持ち帰りを検証/京田辺・培良中
担任教諭とオンラインで結ばれた生徒たちが自宅からの通信を試した(培良中)

コロナ禍、休校措置などを想定した「家庭へのタブレット端末の持ち帰り実証実験」が28日に京田辺市立培良中学校(堀井浩校長、262人)で行われ、普段は校内でのみ使用する端末を自宅に持ち帰った生徒が接続を試した。スマホやパソコンで何度か学校と通信した生徒たちは独力で通信設定を行い、教室の担任とZoomを使って会話を弾ませた。
デルタ株の流行でこれまでにない感染者を数えたコロナ第5波は予想以上の下降曲線をたどり、ひとまず緊急事態宣言とまん延防止等重点措置も全国で今月いっぱいに解除される。
しかし、気温が下がるとともに新たな感染拡大は懸念されるところ。
冬場にかけて、長期にわたる休校などを余儀なくされた場合に対応する児童生徒1人1台貸与のタブレット端末の持ち帰り検証。ICT教育推進校指定の同校は端末導入と同様、市内他校よりひと足早く実証を行った。
これまで自宅にあるパソコンやスマホなどを使い、学校と通信する機会を3度持ち、習熟度を上げた。
今回も「つなぐ」をテーマに、生徒たちは校内で活用してきたタブレットを初めて持ち帰り、環境設定をはじめ、オンライン会議システムZoomを介したやり取りにチャレンジした。

■好感、嫌気…様々に
この日、2年1組の教室には堀井校長をはじめ同校教員、山岡弘高教育長ら市教委教育部幹部も見学に訪れ、通信の様子をうかがった。
大型画面に映し出された生徒たちに担任の松下まどか教諭が話し掛け、ずらりと小ウインドウに並んだ生徒たちは両手を挙げ、号令に従って跳んでみせるなど具合を確かめた。
時に、ミュート解除した生徒が松下担任と対話し意見を述べた。
「オンラインはどうですか」を尋ねられた生徒たちは「教室でみんなでいる方が、隣りの人の考えを聞けて楽しい。窮屈な感じで学習効率が落ちそう」「いい。一歩も家から出ずにできる」「正直イヤ。あんまり…。対面ではないので」「いいと思う。コロナが流行っていて学校にいるのは不安もある。みんなと楽しくできる」など賛否両論がない交ぜに。
28人の同学級では25人が接続成功。全学年のうち16人の約6%が接続できなかった。
同じくICT教育推進校の薪小では24~26日まで5・6年生合計181人が持ち帰り検証を行い、通信接続に支障があったのは3人のみ。児童たちは課題に取り組み、成果をオンライン提出までできたという。
経過を見守った山岡教育長は「児童は週末で家族のサポートもあっただろうが、生徒は平日夕方で保護者も不在であろう中、環境設定も含め課題解決に取り組み、ステップアップになる」、片山義弘総括指導主事は「各校で繰り返し、緊急時に対応できるようにしたい。デジタルについてはモラルとスキルのいずれもの向上を心掛け、家庭の理解も深めたい」と述べた。
同校では生徒のほとんどが自宅に通信環境を有しているといい、堀井校長は「市教委から貸し出され、普段、校外活動で使うモバイルルーターもある」、2年の学年主任でICT担当の奥西弘樹教諭は「これまでの成果が表れた。様々な家庭の環境に対応できるようにしたい」と声を強めた。
今後、各校でも検証を進めていく予定だ。