茶どころ宇治に秋の訪れを告げる第70回宇治茶まつり=同奉賛会(会長=堀井長太郎・府茶業会議所会頭)主催=が3日、興聖寺を中心に執り行われた。感染症対策として茶席などは設けず、関係者による式典のみとした。
まつりは、1932年の全国茶業記念日における記念祭を機に、茶の発展に寄与した栄西禅師・明恵上人・千利休の遺徳をしのび、茶業の繁栄を祈る催しとして開催。昨年(第69回)は新型コロナウイルス感染予防のため中止となった。
午前9時、宇治橋三の間で開かれた「名水汲み上げの儀」では、宇治茶業青年団の入江一徳さんと小島康稔さんが、狩衣に烏帽子姿で現れ、川に釣瓶をたらして水を汲み上げた。
名水行列は取り止めとし、午前10時から興聖寺本堂で献茶式が開かれた。小倉茶業青年団の森下大輔さん、森下和哉さんが茶壷口切りの儀を担当。堀井会長が「茶業関係者一同がより精進し、伝統を守っていく」と祭文をささげた。
表千家の堀内宗完宗匠が献茶。参加者が焼香し、コロナ禍での茶業復興に向け決意を新たにした。式典終了後、門前で茶筅塚供養が営まれた。
なお、例年まつりと並行して開いている消費イベントは、今月オープンした「茶づな」での開催を企画していたが、新型コロナの感染予防のためネット上でのオンライン形式に変更した。来月以降に特設サイトを設け、販売や淹れ方、対談の動画などを載せる予定。