自動運転技術 活用法探る/久御山町地域公共交通協議会
駐車位置へ自動的に収まっていく車

町内を走る路線バスやデマンドタクシーなど、公共交通の利用促進やあり方を検討する久御山町地域公共交通協議会(会長=中村繁男副町長)は5日、今年度2回目の協議会で日産京都自動車大学校=同町林八幡講=を訪問し、委員らが勉強会に参加した。自動運転技術やEV(電気自動車)車両の活用についての知識を深めた。
同協議会が地域公共交通網形成計画に定める一つの施策として同校と連携して開いた勉強会。委員らは講義、体験、見学を通して、現在、5段階のうちの「レベル2」に位置する自動運転技術の現状を学ぶとともに、その一端に触れた。
まず同校の鳥井教頭による講義では、過疎化による公共交通の縮小、高齢者の事故比率の増加や運転免許証の自主返納の増加など、日本社会が直面する社会的課題が引き起こす交通弱者や買い物難民の支援に、自動運転技術が役立つことなどを学んだ。
続いて、駐車時に必要な全ての操作を車が自動で行うプロパイロットパーキングを体験。音波によって物体を探知し距離を測定するソナー12個とカメラ5台を装備した車に乗車し、駐車エリアにぴたりと収まる技術を体感した。
また、電気自動車が様々な電気製品の電源になるほか、必要とされる場所に駆けつけて給電できるため、災害時に威力を発揮することを確認。電力不足を解消する一つのツールとしてEV車両が活用できることを知った。
さらに、日本最大級を誇る実習設備と教材車両がズラリと並ぶ校内施設では、将来の自動運転技術の進展を担う学生たちが懸命に技術を習得する姿も見学した。
信貴康孝町長は「路線バスやデマンドタクシーなど公共交通を担う民間事業者にも将来、自動運転技術を導入してもらえれば。夢を持って拝見した」と述べ、1日も早い自動運転技術の普及に期待した。また「電源を供給できる電気自動車は、住民の安心にもつながっていく。新技術を積極的に導入し、住民福祉の向上にもつなげたい」とも述べた。
鉄道駅を持たない同町にとって、住民の移動手段である公共交通の維持は必要不可欠。高齢化への対応や、バス、タクシーの乗務員不足などといった課題もある中、自動運転技術が公共交通づくりにどう生かせるのか、その活用方法を探った。