剣道で初交流/宇治支援学校中学部と久御山高校
見本を示しながら竹刀の振り方を指導する久御高生

府立宇治支援学校(細矢義伸校長)=広野町丸山=中学部と府立久御山高校(中田佳代子校長)=林北畑=との交流事業が27日、支援学校で開かれた。中学部の保健体育の授業に久御高生が招かれ、剣道の指導を通して交流を深めた。
宇治支援学校中学部では今年度から学習指導要領に「武道」が組み込まれた。そこで、剣道の強豪校として全国に名を馳せる隣まちの久御山高校に協力を要請したところ、快諾。今回の交流が実現した。両校の生徒が剣道を通して互いを尊重し、学び合うことを狙いとしている。
これまで同支援学校高等部と久御高との交流はあったが、中学部の交流は今回が初めて。

紙風船を目掛けてえいっ!と竹刀を振る支援学校生

この日、久御高スポーツ総合専攻コース(担任・川田修司教諭)の2年生39人が支援学校を訪問し、中学部の2年生18人と親交を深めた。
授業は初めて剣道に取り組む支援学校生のために、久御高生が総合的な学習の一環の中で考案した内容で進行した。一方の支援学校生たちは剣道を知ること、そして仲良く交流することを目標に掲げた。
久御高生4~5人と支援学校生1~2人が1つのグループとなり、8つのグループに分かれて交流開始。両校の生徒が互いに自己紹介し、準備体操で体をほぐし、指導に入った。まず最初にお互いを尊重し敬意を示す「礼に始まり、礼に終わる」という武道の精神について説明。次に竹刀の持ち方、構え方、足さばき、正面素振りなどを見本を示しながら伝授。久御高生が「いーね!、うまい!」と真剣な表情で取り組む支援学校生を誉めながら、丁寧に剣道の魅力を伝えた。最初は緊張した面持ちだった支援学校生も〝お兄さん、お姉さん〟の優しい声掛けにより、最後は笑顔。剣道に親しみを覚えた様子だった。
指導した久御高剣道部の副主将の大上慶くんは「楽しんでもらおうと思って授業内容を考えました。剣道を知ってもらう楽しさ、教える楽しさに気付きました」と充実感をにじませた。

迫力満点の実演を披露する久御山高剣道部員

最後に2人の久御高剣道部員が迫力満点のデモンストレーションを披露。気合いの込もった声、竹刀同士が激しく交わる音が体育館に響き、面や胴を捉える電光石火の竹刀さばきが、支援学校生の目を奪った。
今回の取り組みに支援学校の遠藤慎二・中学部統括主事は「お互い初対面なので不安はあったが想像以上に素晴らしい内容だった。少し年上のお兄さん、お姉さんとの普段と違う雰囲気での授業では笑顔も多く見られた」と手応え。「授業内容も工夫してもらえた」と久御高生たちに感謝した。また同校の三村衆子・第2学年長は「年が近いということもあったのか、生徒同士がすぐに仲良くなれ、楽しく交流できた」と笑顔を見せた。
久御高の川田教諭は「授業内容に遊び的な要素を採り入れるなど、生徒同士が距離を縮められるように工夫させた。剣道に触れるという目的を保ちつつ、今回の交流を通じて学んだ事を次回に反映させてほしい」と、12月の2回目の交流を見据えた。
中学部では来週の保健体育の授業から本格的に剣道に取り組む。今回の交流は、生徒たちが初めての剣道授業にスムーズに入っていく上で、貴重な機会ともなったようだ。