酬恩庵一休寺(田邊宗一住職)=京田辺市薪里ノ内=で、一休宗純没後540年を記念した秋のイベント「一休フェス」が開かれている。14日には境内「大雲軒」でトークイベントが行われ、研究者らパネリストが一休禅師の実像に迫った。28日(日)までの会期中、イラストレーター伊野孝行さんによる「風狂」をテーマにした作品展示などが続く。
朝晩はすっかりと冷え込み、ぐっと紅葉が色付き始めた一休寺境内。
一休宗純没後540年を期した「一休フェス」の取り組みのうち、トークイベント「語られ続ける一休」が14日に大雲軒で開かれ、ライブ配信も行われる中、歴史愛好家ら約50人が議論にじっくりと耳を傾けた。
かつて昭和時代に子供たちの人気を集めたテレビアニメの印象もなお濃い一休さん。
単なる愛らしいとんち坊主だった?果たして実相は?―この日は、一休禅師の実相に迫るトークが繰り広げられた。
登壇したのは、芳澤勝弘さん(花園大学国際禅学研究所顧問)、矢内一磨さん(さかい利晶の杜学芸員)、伊野孝行さん(イラストレーター)、コーディネーターも兼ねた飯島孝良さん(花園大学国際禅学研究所専任研究員)の4氏。
禅師の内心や性質を探ろうと試みた議論は早々から白熱。
飯島さんは「伝統を示し、活性化を促す。リフォームが必要な時に貴重な人。周囲は面倒くさいと感じるが、禅僧ならそうでなければ」「常識を超えている。常識に揺さぶりを掛ける人」などと人物の印象を表現した。
芳澤さんは「確信が強い人」、矢内さんは「文学にかかわる人は面倒くさくなくなればおしまい」「ここには一休を思う人が集まり、文化が結集する場所だった」、伊野さんは「いなくなれば、周りがしんみりするような人物」などとイメージを掘り下げた。
終了後、伊野さんと飯島さんの著書の特別販売とサイン会も行われ、熱気に満ちた来場者がパネラーと交流を深めた。
■常軌を逸した 風狂
一休禅師は、1394(応永元)年に後小松天皇の御落胤として誕生。
早くから漢詩文の才能を発揮し、悟りと破戒も。奇矯な言動、開けっ広げなエロスも辞さず、宗門を激しく批判しつつその伝統を担う自負も持ち続けたという。
応仁の乱で荒廃した大徳寺の復興へ。
大応国師の弟子・湖心禅師が開いた塔頭「酬恩庵」で最晩年を過ごし、88歳で遷化(せんげ)した。
「一休フェス」では、境内「宝物殿」で特別展示「keep on 風狂」を開催中。
一休さんをテーマに描くイラストレーターの伊野孝行さんが、頂相(ちんぞう)「ガムテープの一休さん」をはじめ、色鉛筆を使った一休像などの力作を並べる。
酬恩庵に伝わる「一休宗純頂相」「狂雲集」などの宝物ももちろん観覧できる。
また、「虎丘庵」秋季特別公開(18・24・26・27・29日、12月2・3日)は各日午前11時・午後1・2・3時~の各回10人限定(要予約)。
約20分間の住職の案内と自由拝観、歓談と喫茶を楽しめる。茶菓子は奈良萬々堂の「通無道」。志納料2000円。
さらに、連動企画として、屋根を檜枝からチタンに葺き替える修復プロジェクト「開山堂クラウドファンディング」が始動。レディフォーで12月30日(木)まで賛同・支援を呼び掛けている。
拝観時間は午前9時~午後5時(宝物殿9時30分~4時30分)。拝観料は大人500円(中学生以上)、小人250円。虎丘庵の予約、問い合わせは同寺℡62‐0193まで。