京都サンガ 12年ぶりのJ1昇格
サンガ練習場がある城陽市では、J1昇格を祝う横断幕が掲出された(城陽市役所)

サッカーJ2リーグの京都サンガFC(曺貴裁監督)は28日、アウェイで千葉と対戦。0-0で引き分けたものの2位が確定。12年ぶりのJ1昇格を決めた。
引き分けでも昇格が決まる京都だったが、貫いてきた攻守に渡ってアグレッシブに躍動するスタイルで、開始早々から11戦負けなしの千葉陣内で幾度もボールを奪い、ゴールに迫った。
ホーム最終戦でライバルの昇格を見たくない千葉も堅い守備で両チーム無得点のまま前半を折り返す。
後半の相手決定機は、GK清水圭介が救った。
7分のロスタイムを経て訪れた歓喜の瞬間。
松田天馬主将、宮吉拓実、荻原拓也らの目には、サンガに関わる人、愛する人すべての想いが詰まったかのように、涙が熱く光っていた。

■魅せたハイプレス
敵陣であろうと、ボールフォルダーに次々に選手が襲いかかってボールを奪いきり、ゴールまで持っていくハイプレスが今年のサンガの強み。4月から6月にかけては15戦負けなしのチーム記録も作った。

就任1年でJ1昇格を成し遂げた曺貴裁監督

J2暮らしが長く続いた京都を、昇格にまで押し上げたのが、就任1年目の曺監督。
湘南監督時代に、チームをJ1に押し上げた名将は、19年のパワハラ問題で、公認S級コーチライセンスの1年間資格停止処分を受けた。
流通経済大での指導を経ての、再スタートの場は生まれ故郷のJチーム〝サンガ〟だった。オンライン取材では、京都のサッカーを盛り上げたいという意気込みがひしひしと伝わってくる。
昇格決定後のDAZNのインタビューでは「自分はサンガの歴史を外からしか見ていなかったので背負えないけど、きょうから歴史を作りたいなという一戦で、選手がハードワークと京都らしさを見せてくれた」と選手を称え「これからもっともっと京都に強くなってもらいたい。昇格出来たら嬉しいはと思ってたけど、京都に帰ってきて、みんなと喜べたことは想像以上の喜び」と話した。
オンライン取材では「全ては成長するために」「J1昇格でサッカー人生が終わるわけではない」という発言もあった。
チームの公式ホームページでは「次のステージ(J1)はそんなに甘い世界ではない。明日からまた切り替えて」と、千葉戦後にコメントとしている。
昇格は通過点にすぎない。冷静に次を見据えている。
5日には、ホームで金沢とリーグ最終戦を行う。

■練習場有する城陽で横断幕掲出
長いトンネルをようやく抜け出した。
京都サンガFC、12年ぶりのJ1昇格を受け、公式練習場があるホームタウン・城陽市は29日、市役所玄関脇と鴻ノ巣山運動公園の「にじのはし」に幅5㍍、高さ95㌢のお祝い横断幕を掲出した。
この日朝から市教委職員が赤色で『J1昇格おめでとう』、紫色で『京都サンガFC』と書かれた横断幕を設置。京都サンガFCのマスコット「パーサくん」、城陽市のイメージキャラクター「じょうりんちゃん」のイラストも配し、サンガの街・城陽をアピールした。
市民サポーターのうち、今季も市の応援バスツアーに次の金沢戦で12回目の参加をするという会社員の西村昭治さん(64)は「きのう(28日)は仕事だったのですが、気になって時々、サンガの速報を見て、家に帰ってからじっくりとテレビで試合を観戦し、涙を流しました。最も価値ある引き分けだったのではないでしょうか。娘が城陽サッカー(クラブ少年団)に入っていた頃、練習でサンガタウンへ送り迎えしたことをきっかけにサンガを応援するようになりました」と話す。
市のバスツアー等に参加し、本格的にサンガを応援するようになったのは13~14年前から…という西村さん。かつてのJ1時代も知るが、ここしばらくはJ2暮らしが長く続いていただけに喜びもひとしお。
来シーズンを見越して「レベルが高くなり一層厳しい試合となる。しっかりとチームを補強してほしい」と、J1で長く戦えるチーム作りに期待を寄せた。