消防出初式前の新春に本番さながらの実践訓練。城陽市消防本部(南郷孝之消防長)は7日、改修前の市公営企業庁舎=上下水道部と北部コミセンの複合施設、平川広田=を活用した救助資器材の取り扱い訓練を行った。震災等による家屋倒壊を想定し、施錠された窓ガラスを割ったり、開かなくなったドアにエンジンカッターで穴を開けるなど署員らの気合が感じられる内容となった。
訓練には、市消防署警防課の第1~3警防係員や指揮隊員ら16人が参加。3交代勤務の「当務」「非番」「公休」の3係すべてが参加したため、万が一に備えて、市公営企業庁舎前に消防車などを駐車させ、いつでも出動できる態勢をキープした。
同市は、新名神開通前の好機を生かした新しいまちづくりが進んでいるほか、公共施設の老朽化による耐震補強もたけなわ。
その関係で2019年8月に「消防訓練場・主塔」、20年6月には「旧消防庁舎」で解体前に同様の救助資器材の取り扱い訓練を実施。今回は、3階部分を減築し、新たに2階建てとして耐震補強される「公営企業庁舎」で〝今しかできない〟実践的な訓練を展開した。
午前9時から始まった訓練では、上田直紀消防署長(警防課長兼務)らが安全管理する中、①ドア開放訓練②ブリーチング訓練③クレセント解錠訓練が3班に分かれて行われた。
ドア開放では、エンジンカッターで火花を散らしてドアに穴を開け、ゆがんだドアをバールでこじ開けるなど、署員らが震災で倒壊した建物の中に入るために必要な技術を身に付けた。
また、厚さ25㌢もある壁に同じくエンジンカッターで90㌢角の三角形の穴を開け、隣り部屋に取り残された要救助者を助け出す訓練。また、窓ガラスに養生テープを貼ってガラス片が飛び散らないようにし、ダイヤモンドカッターで鍵付近のガラスを割る作業や、日ごろの「安否確認」要請にも活用できるガラスサッシの下部にバールを差し込んで上下に動かすことで、クレセント錠を徐々に下部に移動させ、開錠する技術も身に付けた。
上田消防署長は「今回、改修前の建物を利用させていただいて訓練ができたことで、署員にとっては貴重な経験となった。今後の災害時に生かすことはもちろん、日ごろの市民の安全安心につなげていきたい」と話し、署員の動きに手応えを感じていた。