大蛇に見立てた「しめ縄」を集落の入口に結び付け、災厄が入ってこないように祈りを込める宇治田原町の伝統儀式が9日、禅定寺地区で執り行われた。
立川の糠塚、荒木などでは神縄座(かんじょうざ)と呼ぶが、禅定寺では神上縄(かんじょうなわ)と伝わる。
10の隣組(各組平均11軒)で当屋を回すことから、約110年に一度の大役。
今年は案内の南出文子さん(92)が当屋となり、隣家の息子・喜治さん宅に男衆6人が集合。昭和初期から引き継いでいるという記録ノートを手引きに約100束のワラを一心に縫い上げ、長さ10㍍以上の大蛇を生み出した。【写真】
まだ青年団活動が盛んだったころは、出来上がった縄を他の組の若い衆が奪いに来るという荒っぽい風習があったといい、「奪った縄を抱えて田んぼを逃げ回る。それを追いかけまわす…という鬼ごっこのような娯楽行事だった」という話も残っているが、今では穏やかに進行。
最後は「森本橋」西側に立つムクの大木に巻き付け、お神酒を捧げて今年1年の無事を願った。