和食の良さ 児童ら実感/宇治・伊勢田小
「華やぎ弁当」を食べた児童から感動の声が上がった

宇治市立伊勢田小学校(山根徳子校長)6年生が総合的な学習の時間で、テーマ「和食を未来に」に取り組んだ。児童らは「和食」について調べ、弁当を考案。それを料亭の料理人が実際に作り、児童らが食べるという“夢のコラボ”が実現した。
同校は府小学校教育研究会保健安全部の研究協力校として、2019年度から3年計画で健康安全教育についての研究を進めてきた。それに伴い現在の6年生は、4年生で給食など、5年生で食生活と食料生産などを学び、6年生で「和食」の学習に取り組んだ。
6年生は、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されていることから、「なぜ後世に受け継ぐべき大切な文化なのか」を調べたり、アンケートを作り保護者や同学年児童を対象に意識調査をしたりした。その結果「和食」は特徴として、多彩で新鮮な食材とその持ち味を生かしていること、栄養バランスに優れていること、自然の美しさを表現していること、年中行事と密接に関わっていることを挙げ、学びの成果として冊子とPR動画を作った。
同時期、家庭科で弁当の献立を考える授業があり、和食の学習とタイアップ。一人ひとりが和食の弁当を絵にした。その絵をもとに、コンテストを実施。先生がクラス代表2人を選び、3クラス6人がプレゼンテーションを行った。相手は、宇治の料亭「辰巳屋」の主人・左聡一郎さん。左さんは同校で和食の授業をした縁がある。

辰巳屋の左聡一郎さんが児童のアイデア「華やぎ弁当」を実現

左さんは、月𠩤小都さんの作品「華やぎ弁当」をグランプリとして選び、実際の料理として実現。6年生と教員向けに85個の弁当を作った。食べた児童からは「こんなにおいしい炊き込みご飯は初めて食べた!」「だしが違う」「こんなにおいしいポテトサラダは初めて。何が違うんだろう?」「みりんで煮たリンゴは和を感じる」などの声が上がり、感動した様子だった。
芦田吉生教頭は成果を校内で話し合ったとした上で、「子供たちは、和食には見た目も含めた季節感があり、料理に込めた、あるいは食べる人に感じてもらいたい〝思い〟にたくさん触れてきた。それは新しい発見だった。お腹を膨らませるだけの食ではなく、真に意義のある食を子供たちに実感させることができた、貴重な体験だった」とまとめた。
左さんは「子供たちが和食に興味を持ち、和食離れに危機感を持ってくれていることを肌で感じた」と振り返った。また、グランプリ作品について「彩りも考え、精度が高かった。飛び抜けた出来だった」と称えた。