「ハート」をキーワードにしている自治体の『議会Webサミット』が、14日の「バレンタインデー」に開かれた。
呼びかけ人は宇治田原町議会の議会活性化特別委員会。
初回は大山崎町と兵庫県の神河町が参加し、3町が心温まる「ハートウォーミング」な施策を次々と紹介。今後の連携と全国展開を模索した。
掲載図のように地図上の形から「ハート」を標榜する「まち」による初のサミット。
コロナ禍の中、双方向コミュニケーションソフトZoomを使ったオンライン形式で開催された。
ホスト宇治田原町の馬場哉・議会活性化特別委員長の進行で始まり、まずは同町議会を代表して谷口整議長が「状況が許せば今後、各市町や観光協会などにも呼びかけ、一堂に会するハートのまちサミットに発展させたいと考えています」と挨拶。
互いに送付している特産品を試食したり、内容を確認しながら、ハートウォーミングな自治体運営における議会の役割をテーマに会議を進めた。
今年度当初の人口約9000人、面積は58・16平方㌔、一般会計の予算規模約50億円の宇治田原町は正寿院の猪目窓、くつわ池自然公園の展望台、西ノ山集団茶園のモニュメントなど「ハート」の観光資源を紹介した上で▽新築・中古物件を取得して町民になった世帯への移住定住奨励金▽結婚新生活支援補助金▽乳児の育児用品購入費用助成▽全国学校給食甲子園でも高い評価を受ける給食の保育所・幼稚園・小学校・中学校への提供▽高校生バス通学費支援などを説明。
ふるさと納税は各種推進策により、受け入れ額が1億6000万円以上に増え、それを活用した未来挑戦隊チャレンジャー育成プロジェクトを展開。「保育所体づくりデ茶レンジャー」ではサーキット遊具の導入により運動能力が向上し、就学時にはほとんどの子供が逆上がりをできるようになった…と伝えた。
また、特産品として完全自然食と言える古老柿を提供。その独特な作り方を解説したほか、農林水産大臣賞に輝く「かぶせ茶」も谷口議長が美味しい淹れ方を手解きしながら、オンラインの先で味わってもらった。
一方、乙訓郡の大山崎町(おおやまざきちょう)は面積こそ5・97平方㌔と小さいものの、人口は約1万6000人。予算規模は約60億円となっており、山中一成議長が「ハートブローチ」などを紹介。
町のシンボルは豊臣秀吉が明智光秀を打ち破った天下分け目の合戦舞台「天王山」で、その麓には千利休が建立した国宝の茶室「待庵」など数々の文化財があるほか、中腹の展望台からは全国的に珍しい自然の姿の「三川合流」が望めるといい、「天王山のふもと・三川合流の地・みんなを笑顔にするまち・ええとこ・がんばる・おおやまざき」を将来像に「行政だけでは決して進めない」町民参画による協働で創るまちを目指しているという。
そして、兵庫県の神河町(かみかわちょう)は人口約1万1000人で、予算規模は約77億6000万円。202・23平方㌔という非常に大きな面積の約8割を森林が占め、1000㍍級の山々に囲まれた関西有数の高原地帯は自然志向型の都市住民との交流の場になっているという。
▽若者世帯に対する家賃や住宅取得費用の一部助成▽引っ越し費用の助成▽転入の際のケーブルテレビ・上下水道加入負担金の免除などを行っており、澤田俊一副議長がハートのバームクーヘンや「ゆずホット」ドリンクなどを紹介。
「柚子スキンクリーム」は中学2年生から提出された意見をもとにつくられ、「5つ星ひょうご選定商品」になったヒット作だ。
このほか、神河の宝物を歌(CD)や映像(DVD)にする事業も好評を博しているといい、「子供たちに夢を与える施策展開が最も必要」とアピール。
画面を通して各町の議員らが「まちづくりは人づくり」との認識を新たにした。
■「ハートの日」制定も視野に
宇治田原町議会では、沖縄県の南城市や兵庫県市川町にもハートの自治体議会連携を呼びかけることにしており、「ハートの日」制定も視野に入れている。
語呂合わせでいう8月10日は、日本心臓財団の創立15周年を記念して1985年に「健康ハートの日」として制定されているが、谷口議長は「関係者の理解を得る中で、ハートの日、もしくは『ハートのまちの日』としても制定できないか…検討したい」と協調を求めた。
最後は参加議員全員での意見交換。広報紙の編集方針やハートを生かした新たなシティプロモーションなど、話は多岐に及び、次回へとつないだ。