身長数センチほどの小さなおひな様にお内裏様―緑茶の祖・永谷宗円の生家に近い宇治田原町湯屋谷東塩谷の茶商「髙田園」に愛らしいミニチュアの雛飾りが陳列されている。
今月20日、近所の浅田八千代さんが「髙田園」の髙田美津子さんまで持ち寄せたのは、在職時に商材として扱い、今ではあまり並べることも少なくなったお豆さんのようなサイズの雛飾り。
昨今、新型コロナウイルスの感染拡大で宗円生家を訪れる観光客もめっきり減少。
それでも髙田さんは「宗円交遊庵やんたんもある。たくさんの人に地域の歴史を知ってほしいし、活性化に向かえば」と旧家のたたずまいも色濃く残る自宅の広間を一般開放し、観覧を呼び掛ける。
湯屋谷でも数軒だけという伝統的な形状を今に残す越屋根(こしやね)は茶加工の際に立つ煙を排出。
江戸末期に建てられた家屋は既に150年の歴史を刻んでいる。
ほかにも、黒船ペリーを彷彿させる嘉永6年の記述がある「お茶の番付表」や、興福寺領だったという室町時代の湯屋谷を描いた絵図は江戸期文明18年に複製されたもので、保存状態はよく経年を感じさせない逸品。
「今は冷泉だけれども…」と当時は湯が沸き、温泉宿もあったという当地。湯原寺などの記載も残されている。
髙田さんは「ここを通る方に見てもらい、喜んでもらえれば何より。歴史を物語るものも見ていってほしい」とアピールする。
土でできた京人形は3人官女と5人囃子も揃えられ、漆器や飾りも彩りを添える。
問い合わせは宗円交遊庵やんたん℡0774‐46‐8864まで。