ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で、多くの一般市民が犠牲となっていることに心を傷める久御山町立東角小学校(藤原幹郎校長)の6年生49人が千羽鶴を作り、世界平和を願うとともに、同国の人たちに笑顔が戻ることを祈っている。
昨年、町内3小学校合同で実施した修学旅行では、児童たちは広島での平和学習を通して世界平和への思いを心に深く刻み込んだ。原爆の恐ろしさ、放射線が人体に与える影響を知り、焼け焦げた子供の服を目の当たりにしながら、亡くなっていった多くの人たちに思いを馳せた。
児童らは、連日テレビのニュースや新聞などで報道されるウクライナの惨状を見る中で、「(核兵器の使用にも言及しているプーチン大統領に対し)原爆の悲惨さを知っているので、核兵器は絶対に使ってほしくない。何の罪もない人々が亡くならないでほしい。ロシア国民の中には戦争を反対している人もたくさんいる」などと、強い不安の気持ちを吐露した。
ウクライナの人々のために卒業前に何かできることはないかと考えた児童たちは、平和への祈りを込めた千羽鶴を作ることを決めた。児童会本部役員メンバーが1年生から5年生にも呼び掛け、平和を願う気持ちを学校中に広め、それを日本中、そして世界中にも広めたいと考えている。社会の授業では世界紛争について学んでいるところで、子供たちの関心も高い。
千羽鶴づくりは、全校児童が非認知能力を高めるために設けられた給食後の「TEA(Touzumi・Enjoyable・Activity)タイム」を利用している。
9日には、鶴を折る前に教室のモニターにウクライナ情勢を伝えるニュース映像を流し、その惨状を改めて認識した児童たち。ロシア軍による攻撃はもはや軍事施設のみにとどまっていない。爆撃を受けた学校、がれきの山と化した街、民間人が泣き叫びながら必死に避難する姿に再び悲痛に包まれた。
児童らは「早く戦争が終わって平和になってほしい」「一人の死者も出さずに解決してほしい」「ウクライナだけでなく、戦争のない世界を祈りたい」と、平和を強く望んだ。
協力してくれた他のクラスから折り鶴を回収し、週明けには、それらをつなげて千羽鶴を完成させる。ウクライナの国旗をイメージし、青、水色、黄の折り紙を使い、平和への祈りを込めた〝結晶〟が出来上がる。